安心してママが活躍できる場をつくりたい|宮崎雅子 -目次-
仁蓉
本日はよろしくお願いします。
まず、雅子さんの起業のきっかけや、そこにまつわるエピソードを教えてください。
宮崎
私が内閣府認証NPO法人を立ち上げたのがちょうど2010年で、子供が高2、中3、中1と3人いますが、2番目の子が1歳の時に立ち上げました。なぜ立ち上げたのかというと、「妊娠・出産・育児ってこんなに思い通りにいかないのか」と挫折を味わったからなんですね。
それまで努力で何とかなっていたものが、全く思い通りにならない。たくさんのママたちが当たり前にやっている育児や家事、仕事が、何で私はこんなにできないのだろう。そうやって、私の自信が全て失われたのが、ちょうど2人目が生まれた時だったんです。
実は、長男が生まれた時に、もともと金融関係の会社に勤めていた夫が、突然「教師になる」と言い出して、その会社を退職してフリーターになったのです。教職課程を取っていなかったので、講師の仕事をしながら教員採用試験に向けて頑張っていたんですけれど、夫はダブルワークをしていたので、完全に私のワンオペ状態でした。
うまくいかない、みんなが当たり前にできている事ができない。でも、その弱音を吐露する場もなくて、当時3歳の長男に当たってしまうこともあって、「ママは怒ってばかりいるから保育園の方が良い」と言われてしまったんです。
その時に、私の人生はこれが理想の地点じゃない、なんとかしなければと思いました。
そんな気持ちを抱えているときに、ちょうど同い年の子供をもつ友人が家に遊びに来てくれて、そこで「みんなが当たり前にできていることが出来なくて辛い」「誰にも相談できない」ということを、ポロッと話したんですよね。そうしたら友人が、「私も同じだよ」と言ってくれたんです。
そこから、私たちみたいに悩んでいるママがいっぱいいるのではないか。孤立して育児をしていたり、相談できなかったり、そういう人はいっぱいいるのではないか。こんなに辛い思いをしたママたちを増やしてはいけない、という話になり、育児サークルを作ろうと思ったのが起業のきっかけです。
最初はサークルだったので、有料で借りられる地域の施設に集まってベビーマッサージ
をしてみる、みたいなところから始めました。それが今から15年前です。
仁蓉
そこからNPO法人にしたんですね。
宮崎
そうですね。しばらくはサークルでやっていたのですが、やっぱり安心して来てほしいなと思ったんですよね。それと、ゆくゆくは自治体や企業と一緒に、もっとママや育児の支援をやりたいという話になって、法人格を取ることにしました。
仁蓉
NPO法人は10人以上いないと設立できないですよね。
宮崎
そうですね。もともとは2人から始めましたけど、一緒に講師やスタッフをやってくれるママ友たちに入ってもらいました。
仁蓉
今はSNSで子育ての苦悩をよく見かけるようになりましたが、15年前といったら専業主婦が当たり前のような時代で、今とは全然雰囲気が違いましたよね。
宮崎
結婚しても、そのまま会社に戻れたらラッキーぐらいな感じで、育児しながらバリバリ仕事をしている人はまだ少なかったと思います。
仁蓉
今は結構時代が変わってきましたし、まさに雅子さんは、そういう時代をつくってきたという感じですね。
宮崎
色々な働き方ができるようになりましたし、それを伝えられるようになったのはすごく良かったなと思います。
本当にありがたいことに、育児サークルで年間延べ1000人の方が来てくれたんですよ。当時そこに来ていたママたちから聞いていた話は、「私には何もないからとりあえず前の仕事に戻る」とか、「やりたいことがあるけれど子供も小さいし」とか、「起業は才能がある人がすること」とか。
そうやって、諦めているママをいっぱい見てきた中で、仕事も家庭も自分自身も諦めない、その人の理想の生き方・働き方があるのではないかなと思っていました。
また、私自身もこのままで終わりたくないという気持ちがありました。子供が3人いて、ワンオペで、自信も打ち砕かれていて。でも、諦めたくないし、何かできるのではないかと思って、起業の勉強をし始めました。そこから、この学びをママたちにも還元しようと思って作ったのが、「みんなのハブ空港」というコミュニティです。
仁蓉
「みんなのハブ空港」の内容について教えてください。
宮崎
テーマはずっと変わらず、「仕事も、家庭も、自分自身も諦めない女性を応援する」という形でやっています。
私は、億稼ぎたい、法人を立ち上げたい、バズりたい、という方ではなくて、自分の好きなことで相手に喜ばれて、しっかり収入をつくっていって、長く愛される起業をしたい人、そして、仕事だけではなくて、子どもとの時間、家族との時間も大切にしたい人のために何かをしたい、という気持ちがずっとあるので、バリバリやりたい人は違う起業塾に行ってくださいという話をよくします。
なので、仕事も家庭も自分自身も諦めなくていい、自分の時間も家族との時間も大事にしたい。そんな人たちの起業を成功させるために、ファン作りとコミュニティ作り、そしてコミュニケーションをお伝えしています。
仁蓉
すごく素敵なコンセプトですね。
「みんなのハブ空港」は、どこから繋がれますか?
宮崎
ライン公式があるので、そこから繋がることができます。
仁蓉
女性起業家やFEAについて、雅子さんが思うことを教えてください。
宮崎
「みんなのハブ空港」は、その場所に来てもらって繋がりを得たり、出会いを得たり、人と繋がってチャンスを手に入れてもらって、自分の目的地に飛び立ってもらいたい、という意味を込めて「みんなのハブ空港」という名前なのです。
私のハブ空港の中でも、ビジネスが繋がったり、お客様が繋がったりする方はいますが、やっぱり限界があるというのが1つ思っていることです。
また、一人では限界があるとも思っています。私が今でも仕事ができているのは、本当に人との繋がりのおかげだと思っているのですが、それをもっと広げる、もっとその人達の未来に繋げる、ということをコンセプトに活動しているのがFEAだと思っているんですよね。
私も活用させてもらいたいし、私たちのハブ空港に来ている人も、もっと大きいFEAというハブ空港に行ったら、もっと活躍する機会、良い出会いがあるかもしれないと思っています。
仁蓉
お互いにそれぞれの人脈を知ってもらうことは、メンバーさんにとっても有益ですよね。
宮崎
人との繋がりやコミュニティが、これからは絶対すごい力になると思っています。
少し話が逸れますが、コミュニティをクローズドにしていて、他の人たちを寄せ付けないとか、行ってみたら内輪の集まりだった、みたいな話も時々聞いたりするんです。でもこれって、生産性がないし、未来がないし、そのメンバーのことを考えると、色々な新しい風を入れたほうが良いのではないかと思っています。なので私は、囲い込みをすることは考えたことがないですし、私のコミュニティにいる人も、FEAだったり、外の方と繋がったら良いなと思っています。
もともと私が、弱音を吐露できなくてずっと悩んでいたというのがあるので、弱音でも夢でも、誰かに話すことによって広がっていったり、アクションを起こせたりすると思いますし、FEAというプラットホームがあることによって、仲間と繋がることができたり、チャレンジをする機会がもらえたり、本当にすごい応援になるなと思っています。
仁蓉
ありがとうございます。
では最後に、雅子さんの夢を教えてください。
宮崎
仕事も家庭も自分自身も諦めないで、自分らしい働き方をして収入をつくるママを増やすというのが、私のずっと持っているテーマなので、確実に成果が出せる、その人が望む働き方を手に入れられる、そんなママのためのビジネススクールをつくるのが私の夢です。
仁蓉
ママって時間が限られているし、起業のハードルが高いと思うんです。すごくやる気があるのに、ハードルが高くて、咲きかけた蕾が途中でしおれてしまう場合もありますもんね。
宮崎
スキルも思いもあるけれど活躍の場だけない、という方がまだまだいるので、そういう方を、どこに住んでいようが、どんなにブランクがあろうが、素晴らしいものを持っているということを伝えて、そういった方の活躍の場を増やしていきたいです。
仁蓉
一緒にやっていきたいですね。
そうやって世の中を変えていけたら良いなと、私も本気で思っています。
雅子さん、本日はありがとうございました。