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私、仁蓉まよは、これまで医療・福祉・ビジネスの現場で多くの女性の意思決定に伴走してきました。
その中で一貫して感じてきたのは、「能力があるにも関わらず、権力を持つことを避ける女性」が非常に多いという事実です。
権力とは、本来「他者や社会に影響を与える力」であり、意思決定を実行できる重要な資源です。
しかし女性にとってそれは、時に“リスク”や“負担”として認識されてしまう。
本稿では、「なぜ女性は権力を恐れるのか」という構造を紐解きながら、これからの時代における“女性と権力の再定義”についてお伝えいたします。
権力=支配という誤解
多くの女性にとって「権力」という言葉は、どこか攻撃的で支配的なイメージと結びついています。
これは、これまでの社会構造の中で、権力が“支配”や“競争”の文脈で語られてきた影響です。
しかし本来の権力とは、「意思決定を実現する力」であり、「責任を持って選択する力」です。
つまり、他者を押さえつけるものではなく、未来をつくるための手段なのです。
「嫌われるリスク」を回避する構造
女性は幼少期から、「協調性」や「空気を読む力」を強く求められてきました。
そのため、強い意思表示や決断は、「わがまま」「冷たい」と評価されるリスクを伴います。
権力を持つということは、必然的に誰かの利害と衝突する場面が生まれる。
この“嫌われる可能性”を避けるために、無意識に権力から距離を置く構造が生まれているのです。
ロールモデルの不足
女性が権力を持つ姿を、現実的なロールモデルとして見る機会が少ないことも大きな要因です。
「強い女性」はいても、「しなやかに権力を扱う女性」の具体像が共有されていない。
その結果、権力を持つ未来を想像したときに、
「孤独になるのではないか」
「自分らしさを失うのではないか」
という不安が先に立ってしまうのです。
“責任の重さ”の過剰認識
女性は責任感が強い傾向があります。
そのため、「権力=大きな責任」と捉えたときに、自分がそれを背負いきれるかを過剰に評価してしまう。
特に、医療や福祉の現場では、「判断が誰かの人生に直結する」という経験をしている女性ほど、慎重になります。
その慎重さが、結果として権力から距離を置く要因にもなっているのです。
“優しさ”との葛藤
多くの女性は、「優しくありたい」という価値観を大切にしています。
しかし権力は、ときに冷静な判断や線引きを求めるものです。
「全員を守ることはできない」という現実と向き合う必要がある場面で、
優しさと決断が衝突してしまう。
この葛藤が、「自分には権力は向いていないのではないか」という自己認識を生み出してしまいます。
評価されにくい構造
女性が権力を持ったとき、その評価はしばしば二極化します。
「強すぎる」と批判されるか、「優しすぎて弱い」と評価されるか。
つまり、どちらに振れても正当に評価されにくい構造が存在しているのです。
この構造を知っている女性ほど、「あえて権力を持たない」という選択をすることもあります。
権力の“再定義”が必要
ここで重要なのは、「権力の定義そのものを変えること」です。
権力とは、支配ではなく
「関係性を調整する力」
「意思決定を社会に実装する力」
であると捉え直す。
この視点に立ったとき、女性が持つ共感力や調整力は、むしろ権力に適した資質であるといえます。
“持たない自由”と“持つ覚悟”
もちろん、権力を持たない選択も尊重されるべきです。
しかし、それが「恐れ」からの選択である場合、人生の可能性を狭めてしまう。
大切なのは、
「持たない自由」と「持つ覚悟」の両方を、自分で選べる状態にあることです。
女性が権力を持つことは、単に個人の成功ではなく、
社会の意思決定の多様性を広げる行為でもあります。
権力を恐れるのではなく、どう扱うかを学ぶ。
その視点こそが、これからの時代に求められる女性の戦略なのです。
