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正義感が強い人ほど、境界線を引けなくなる

正義感が強い人ほど、境界線を引けなくなる
大阪府 仁蓉まよ 正義感が強い人ほど、境界線を引けなくなる

正義感があることは、美徳だと長く信じられてきました。
困っている人を見過ごせない、理不尽を放っておけない、不公平を正したい――そうした感覚は、社会を前に進めてきた原動力でもあります。

しかし私は、医療・福祉・女性支援・起業という複数の現場を通して、ある矛盾を何度も見てきました。
正義感が強い人ほど、自分の境界線を引けなくなり、最初に壊れていくという現実です。

この記事では、「なぜ善意の人ほど限界を超えてしまうのか」、そして「境界線を引くことは裏切りではない」という視点を、構造として整理していきます。

正義感は“他者基準”で育つ

仁蓉まよ

正義感が強い人は、多くの場合「自分がどう感じるか」よりも、「相手がどう困っているか」「社会的に正しいか」を優先して行動します。
これは利他的である一方、意思決定の軸が常に外側に置かれている状態でもあります。

「まだ私がやれることがあるのではないか」
「ここで引いたら無責任ではないか」

こうして、判断基準が他者や理念に寄り続けると、自分の限界を測る物差しを失っていきます。

境界線=冷たさ、だと誤解している

仁蓉まよ

多くの支援者が、「境界線を引くこと=冷たいこと」「見捨てること」だと誤解しています。
特に女性は、共感性の高さゆえに「応答し続けること」が善だと刷り込まれてきました。

けれど本来、境界線とは拒絶ではありません。
関係を持続させるための設計です。

境界線がない関係は、必ずどちらかが壊れます。

“正しい側”に立つほど、逃げ場がなくなる

仁蓉まよ

正義感の強い人ほど、「自分が倒れたら誰が守るのか」という役割意識を背負います。
すると、休むこと・断ること・距離を取ることが、道徳的に許されない行為に見えてくる。

これは個人の性格の問題ではなく、
正しさを担う人に逃げ道を用意しない社会構造の問題です。

境界線を引けない人は、怒りを溜め込む

仁蓉まよ

境界線を引けないまま支援を続けると、感謝されないこと、変化が見えないことに無力感が積み重なります。
その結果、

なぜわかってくれないのか

こんなにやっているのに

という怒りが、内側で発酵していきます。
やがてそれは、自己否定か、他者攻撃か、燃え尽きという形で噴き出します。

「全部受け取る人」は、実は支援を歪める

仁蓉まよ

境界線を引かない支援者の存在は、無意識のうちに「依存を固定化」させることがあります。
支援される側が、自分で選び、決め、責任を持つ機会を奪ってしまうこともある。

これは誰も望んでいない結果ですが、
善意だけで関係を続けたときに起こりやすい構造です。

境界線は「役割」を守るためにある

仁蓉まよ

境界線を引くとは、「私はここまで」「これはあなたの領域」と役割を分けることです。
役割が混線すると、責任も感情も溶け合い、誰も健全でいられなくなります。

支援者が支援者であり続けるためには、
人としての自分を守る線が必要なのです。

境界線を引くことは、信頼の表明である

仁蓉まよ

「ここから先はあなたが決められる」
「私はあなたの力を信じている」

境界線は、相手の主体性への信頼を示す行為でもあります。
全部を抱え込まないことは、関係を対等に戻す選択です。

正義感は、境界線があって初めて社会を支える

仁蓉まよ

正義感そのものが問題なのではありません。
境界線のない正義感が、人を壊し、関係を歪め、支援を続かなくするのです。

支援を続けるために、
社会を良くし続けるために、
まず守るべきは「正しさ」ではなく「人」です。

境界線を引ける人こそが、
長く、静かに、社会を支えていけるのだと、私は確信しています。

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