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自治体による婚活支援は全国的に増えていますが、その多くは依然として「出会いの場づくり」に偏っています。
私が女性支援・プレコンセプションケア・婚活支援の現場で見てきたのは、イベントだけでは結婚にはつながらないという厳しい現実です。
必要なのは、「偶然の出会い」ではなく、人生設計から逆算できる“意思決定支援型の婚活政策”。
本稿では、現場視点から“自治体婚活が変わるべき理由”と、その具体策を整理してお伝えいたします。
イベント頼りの婚活支援は、限界が見えている
自治体婚活でよく見られるのが、マッチングイベント・合コン形式・体験型交流会の三本柱です。
しかし、現場で感じるのは、
●参加者の温度差が大きい
●コミュニケーションが苦手な男女には不向き
●イベント後の関係構築が続かない
という“構造的な課題”です。
実際、多くのカップル成立報告は「一部の積極層」のみに集中しており、その後の成婚率も高くはありません。
自治体が「出会わせる」だけでは、人生のパートナー選びという本質的なテーマには届かないのが現状なのです。
求められているのは、人生設計とセットの婚活支援
私が婚活現場で関わる女性たちは、「恋愛」ではなく「人生設計」を軸に動いています。しかし自治体の支援は、まだそこに追いついていません。
本来必要なのは、
●住まい(住宅政策)
●働き方(雇用・キャリア支援)
●妊娠出産(プレコンセプションケア)
●経済的基盤(金融教育)
こうした“人生の基盤づくり”と婚活が一体化した支援です。
出会いは目的ではなく、人生の選択肢をデザインするプロセスの一部なのです。
プレコンセプションケアが自治体婚活の必須要素になる理由
妊孕性(妊娠のしやすさ)は年齢とともに低下します。
しかしその事実を正しく理解している若年層は、まだ多くありません。妊娠・出産の現場にいた者として、私はいつも「知らないまま時間が過ぎてしまうこと」の危険性を感じてきました。
自治体が婚活支援を行うのであれば、
●妊娠リスクの基礎知識
●生活習慣・健康の整え方
●将来の治療リスク
といったプレコンセプションケア教育を組み込むことは不可欠です。
人生の選択肢を守るための「正しい知識」は、婚活そのものを戦略的にします。
男女ともに必要なのは“自己分析”。恋愛より前に、自分を知る
婚活がうまくいかない最大の理由は「相手を知らない」ではなく「自分を知らない」です。
自治体は、
●性格分析
●働き方・価値観の整理
●結婚後の希望(住居・仕事・子ども)
などの自己分析プログラムを提供することで、ミスマッチを大きく減らせます。
イベント前に“価値観の棚卸し”を行うことで、「なんとなく来た」参加者が減り、「意思を持って参加する」層が増えるのです。
婚活の前に「キャリア支援」を組み込むべき理由
キャリアが不安定な状態では、婚活はうまくいきにくいものです。
特に女性のキャリアは、
●非正規雇用の増加
●出産後の離職
●地域における働き方の制約
など、構造的課題に影響されやすい。
自治体が婚活支援を本気で成功させたいのであれば、職業訓練・複業支援・リスキリングを組み込み、“働ける女性”を増やすことが最優先です。経済的自立は、結婚後の幸福度や持続性にも直結します。
自治体が取り組むべき5つの具体策
私が現場で提案する“実効性のある婚活支援”は次の5つです。
1.自己分析+価値観診断の標準化
2.プレコンセプションケア講座の必須化
3.キャリア支援・リスキリングとの連動
4.結婚後の生活設計(住まい・家計・働き方)のモデル提示
5.コミュニティ形成支援(地域サロン・学びの場)
これらは単体ではなく、連動させて初めて効果を発揮します。
自治体婚活は“コミュニティ支援”と合わせて進化する
婚活が続かない理由の一つは、「孤独なまま取り組むこと」です。
自治体がつくるべきは、
●女性コミュニティ
●男性向けコミュニケーション講座
●同世代交流の「学びの場」
といった、“関係性の土台”を生み出す場です。
出会いは一瞬ですが、コミュニティは長期的に人生を支えます。
婚活支援の真価は、むしろこちらにあります。
“人生設計から支える婚活”が、地域の幸福度を上げる
婚活支援は「少子化対策」ではなく、地域の幸福度と経済力を高める社会投資です。
人生設計を支える自治体は、人が集まり、企業も集まり、地域経済は循環します。
これからの婚活政策に必要なのは、イベント中心ではなく、“人生・キャリア・健康・経済”を統合した支援設計。
自治体がこの方向に舵を切れば、婚活はもっと前向きで、持続可能で、地域を豊かにする取り組みへと変わっていくはずです。
