目次
女性がリーダーシップを発揮する場面が増える一方で、私が強く感じているのは「風評被害」と「ネット誹謗中傷」が女性に特化して大きな負担となっている現実です。
とくに、女性リーダーは外見・家庭・性別役割・人間関係にまで踏み込んだ攻撃を受けやすく、キャリア継続に深刻な影響を与えることも少なくありません。
本稿では、助産師・女性支援者・社会起業家としての視点から、女性リーダーが直面する“見えないリスク”の本質と、組織・社会が取るべき支援についてお伝えいたします。
女性リーダーが狙われやすい構造的理由
私が多くの女性経営者・管理職と関わる中で痛感するのは、女性リーダーは“攻撃されやすい立場に最初から置かれている”という構造です。
性別による固定観念は依然として強く、リーダーとしての判断よりも「女性であること」そのものが評価・批判の対象になってしまう。
その結果、男性よりも人格攻撃・容姿批判・家族への中傷といった“属性攻撃型”の誹謗中傷を受けやすい傾向があるのです。
ネット中傷は女性に“自己検閲”を強いる
SNS上の誹謗中傷は、単なる精神的ダメージに留まりません。
女性リーダーに最も深刻な影響を与えるのは、「もう発信しない方がいいのでは」という“自己検閲”に追い込まれることです。
意見を語りにくくなり、発信量を減らし、影響力が弱まってしまう。
これは個人の問題ではなく、社会全体の意思決定の多様性を失わせる“構造的損失”なのです。
風評被害はキャリア・事業に“経済的損失”をもたらす
「事実と異なる噂や歪んだ情報」が一度拡散されると、女性リーダーは「説明」や「信頼回復」のために過剰な労力を注ぐことになります。
これは時間・精神・経済のすべてにおいて大きなコストです。
男性よりも細かな生活情報やプライベートに踏み込んだ中傷が広がりやすく、事業の信用にも影響しやすいことが特徴です。
風評被害は“見えない経済損失”として女性のキャリアに深い傷を残します。
女性の“共感力”が裏目に出る瞬間
私は長く「共感力は女性リーダーの資産」と伝えてきました。
しかし、誹謗中傷を受けてしまうと、この共感力が過剰に働き、自責感や傷つきやすさにつながることがあります。
「自分が悪かったのでは」「もっと丁寧にすべきだったのでは」と、自分を責めてしまう。
これは、女性の感性や優しさが持つ大きな力と同時に、社会が十分に守れていない脆弱性の一部でもあります。
女性リーダーが孤立しやすい“相談先の欠如”
誹謗中傷は、往々にして“誰にも言いづらい問題”として隠されがちです。
とくに女性は、感情を整理しながらも「迷惑をかけたくない」という気持ちから周囲に助けを求めにくい。
その結果、一人で抱え込み、メンタルヘルスやキャリア継続にまで影響するケースを私は数多く見てきました。
本来、組織・社会が女性リーダーを孤立させてはならないのです。
組織が取るべき“攻撃から守る仕組み”
女性リーダーを支えるためには、個人の努力だけでは不十分です。
必要なのは、
●誹謗中傷のモニタリング
●法律相談や弁護士連携
●SNSポリシーの整備
組織としての公式な支援表明など「構造的に守る仕組み」です。
女性本人が防御のすべてを担う社会では、リーダーの誕生そのものが阻害されてしまいます。
“感情知性”は攻撃に屈しないリーダーシップを生む
誹謗中傷に対して、感情を適切に扱う力——いわゆる“感情知性(EQ)”は女性リーダーの大きな武器になります。
揺さぶられた心を自分で整え、状況を俯瞰し、必要な助けを求める。
この感情のセルフマネジメント能力こそが、攻撃に左右されずに意思決定を続けるリーダーシップの基盤となります。
女性リーダーを守ることは、社会の未来を守ること
誹謗中傷の矛先は“勇気を持って立つ女性”に向かいやすく、その攻撃を放置することは社会の損失に直結します。
女性が安心して声を上げ、意思決定に参加できなければ、組織も社会も多様性を失う。
女性リーダーを守ることは、個人の防衛ではなく「未来の意思決定の質」を守ることなのです。
風評被害やネット中傷に立ち向かうことは、女性自身の強さだけではなく、社会全体の責任なのだと私は強く感じています。
