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慢性疾患・障がいと女性キャリア——“フルタイム前提”を手放す働き方戦略

慢性疾患・障がいと女性キャリア——“フルタイム前提”を手放す働き方戦略
大阪府 仁蓉まよ 慢性疾患・障がいと女性キャリア——“フルタイム前提”を手放す働き方戦略

慢性疾患や障がいを抱える女性のキャリア支援に関わるたび、私は「働き方の前提」がまだまだ過去の価値観に縛られていることを痛感します。
日本では依然として、“週5日・8時間・フルタイムで働けること”が「普通」であり、「理想」とされがちです。しかし、医療や福祉の現場で多くの女性と向き合ってきた私には、これはもはや現代社会の実態と合っていないと感じるのです。

本稿では、慢性疾患・障がいを抱えながら働く女性の現状と、これから必要となる“フルタイム前提を手放すキャリア戦略”についてお伝えします。

女性は“健康変動”を前提に生きている

仁蓉まよ

私が助産師として周産期医療、不妊治療、女性診療に携わってきた中で強く感じるのは、女性の身体には“周期性”と“変動性”があるという事実です。
月経、妊娠、出産、育児、更年期。これらは身体への負荷だけでなく、働き方や集中力にも大きな影響を及ぼします。
さらに、子宮内膜症、片頭痛、甲状腺疾患、自己免疫疾患など、慢性疾患を抱える女性は決して少なくありません。

つまり女性は本来的に「ずっと同じ状態で働き続ける」ことが難しい生物学的特性を持っているのです。

“フルタイムで働けない=やる気がない”という誤解

仁蓉まよ

福祉事業所(A型・B型)を運営しながら、多くの女性の相談に乗ってきましたが、もっとも深刻なのは「働けない自分への罪悪感」です。
休みが必要な日は罪悪感を抱え、体調不良を伝えると「迷惑をかけている」と思い込み、仕事量を調整すると「周りより劣っている」と落ち込む。
しかし、これは個人の問題ではなく、旧来の「フルタイムが正常」という社会モデルの問題なのです。

働ける時間が波のように揺れる女性にとって、キャリアは“量”ではなく“持続可能性”で評価されるべきなのです。

慢性疾患・障がいを抱える女性は“戦略的キャリア形成”が必要になる

仁蓉まよ

体調に波がある女性は、無理に周囲に合わせるのではなく、むしろ「戦略的に働き方を選ぶ」ことが重要です。
・勤務時間より成果で評価される職種を選ぶ
・ハイブリッド勤務やリモートワークを取り入れる
・副業で収入源を分散させる
・業務内容を“軽い日”と“集中できる日”で調整する

これらは弱さの補填ではなく、むしろ持続可能なキャリアをつくるための高度な意思決定です。

“リスキリングは量より方向性”で考える

仁蓉まよ

症状の強い日がある女性にとって、学び直しを続けることは時に負担になります。
しかし、キャリア形成には「大量の学習」よりも「適切な方向選択」の方がはるかに影響力が大きいのです。
自分の体調に合った働き方ができる職域や、無理が少ないスキルセットを選ぶ。

これは、医療現場でも福祉現場でも、長く働き続ける女性たちが共通して行っている戦略です。

“週休3日・短時間・柔軟勤務”は甘えではなく合理性

仁蓉まよ

私は経営者として、障がいや慢性疾患を抱えるスタッフの勤務設計にも携わってきました。
わかったことは、「無理をして週5働くより、週3で安定して働く方が成果が高い」というケースが非常に多いということ。
体調が安定している日だけ働く方が、欠勤も離職も減り、結果的にスタッフ本人も企業側もメリットがあります。

柔軟勤務は“特別扱い”ではなく、むしろ合理的な労働設計なのです。

“社会的弱者”というラベルを外す

仁蓉まよ

慢性疾患や障がいを抱える女性は、決して弱いわけではありません。
むしろ、自分の身体と向き合い、計画的にエネルギー配分を行い、限られた時間で成果を出す——それは極めて高度なマネジメント能力です。

本来ここには、“弱さ”ではなく“強み”として評価されるべきスキルが存在しています。

企業・行政が果たすべき役割は“前提の再設計”である

仁蓉まよ

今必要なのは、働く女性を「支援する」ことではなく、フルタイム・週5・連続勤務という旧来の前提をアップデートすることです。
企業は成果基準型の働き方を整え、行政は障がいの有無に関係なく柔軟勤務を選べる制度を拡大する。

社会全体が、「働ける日だけ働く」という選択を前向きなものとして承認する必要があります。

“持続可能に働けること”こそ、女性キャリアの最大の戦略

仁蓉まよ

キャリアの価値は、働いた時間ではなく、働き続けられる仕組みをつくれるかどうかです。
慢性疾患や障がいがあっても、働くことはできる。
ただし、旧来の働き方に合わせる必要はもうないのです。
必要なのは、体調の波と共に生きる女性が、無理なく、誇りを持って働き続けられる社会設計。

“フルタイム前提”を手放した先にこそ、女性のキャリアはもっと自由に、もっと強く進化していくと私は考えています。

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