目次
かつて女性の転職は「ブランクからの再挑戦」と捉えられていました。
しかし現在、35歳以上の女性たちは“自分のキャリアを再設計する主体”として動き始めています。
リクルートワークス研究所やdodaの最新調査によると、
中途採用市場で最も活発に動いているのは35〜49歳の女性層。
もはや「戻る」ではなく、「選び直す」時代に入っているのです。
なぜ35歳からの転職が増えているのか
リクルート「中途採用動向」では、35〜44歳女性の転職希望者数が過去5年で約1.5倍に増加。
背景には、子育てフェーズの変化・リモート勤務の定着・リスキリング制度の拡充があります。
経済産業省によると、社会人女性のリスキリング受講率は2020年比で約2.3倍に上昇。
“もう一度働き方を設計し直す”という考え方が、ミドル層に定着しつつあります。
「キャリア軸の再定義」──上昇よりも“調和”へ
35歳を過ぎると、多くの女性が昇進や収入よりも「生活・健康・やりがい」との調和を重視するようになります。
求人市場調査では、転職理由の上位に
「人間関係・価値観の不一致」
「社会的意義のある仕事」
「柔軟な働き方」が並びました。
“上昇志向”から“調和志向”へ。
それはキャリアを諦めることではなく、成熟の証なのです。
企業がミドル女性を求める理由
2025年のネオキャリア調査によると、企業が35歳以上女性を採用したい理由は、
「チームの安定性」「若手育成」「顧客対応力の高さ」など、人間力に関わる項目が上位を占めました。
企業は即戦力だけでなく、経験から生まれる“安定力”を重視し始めています。
女性のキャリア経験は、今や組織の戦略資産となっているのです。
地方企業で進む「ミドル女性採用」の新潮流
長野県の中堅メーカーでは、2024年からミドル女性限定のU・Iターン採用を実施。
週3日勤務+在宅制度を導入したことで、35〜45歳女性の応募が前年比3倍に増加し、離職率も半減しました。
企業と地域が連携し、女性が「暮らしと働き方を両立できる環境」を整える動きが広がっています。
ミドル女性の安定した就業は、地方創生の推進力にもなっています。
専門職から広報・人事・福祉経営へ
看護師・保育士・教員など、ケア領域の専門職から、
広報・人事・福祉経営へと転職する女性が増えています。
「現場経験を“伝える力”に変える」発想のもと、医療系企業の広報担当や人材育成職に転身する例も多く、元保育士がSNS広報ディレクターを務める福祉法人も登場。
専門職スキルがマネジメントや発信職へと拡張しているのです。
リスキリングが社会の“インフラ”になりつつある
政府は「人への投資支援パッケージ」を拡充し、オンライン講座や資格支援など、年間約10万人規模の女性を対象に支援を実施。
民間でも「SHElikes」「Aidemy」などのキャリアスクールが人気を集めています。
学びはもはや“再挑戦”ではなく、日常の自己投資文化として根づきつつあります。
「転職=不安」から「転換=選択」へ
マイナビの調査では、35歳以上の女性の72%が「転職してよかった」と回答。
転職はもはやリセットではなく、自分の軸を再構築する機会と捉えられています。
大切なのは、環境に合わせて軸を失うことではなく、自分の価値観に沿って働き方を設計し直すこと。
それこそが、「再出発」ではなく「再設計」という生き方です。
経験を“社会資産”として活かす時代へ
ミドル女性のキャリアは、出産・介護・地域活動と深く結びついています。
その経験こそが、企業や地域社会にとって価値ある社会資産です。
女性が年齢を重ねるほど選択肢が増え、経験を活かして働ける社会こそ、真に持続可能な未来と言えるでしょう。
まとめ
35歳以上の女性は、支援される側ではなく“社会を動かす側”へ。
学び直し、キャリアを再構築し、地域や企業の価値を再定義する存在です。
その動きは、単なる転職市場の変化ではなく、社会全体の「働き方の再設計」を象徴しています。
