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私は、助産師として「命と生き方」に向き合ってきた経験と、社会起業家として「経済の仕組みづくり」に関わってきた視点の両方から、近年のZ世代女性たちの起業観に強く感銘を受けています。
彼女たちは「何を売るか」ではなく、「どんな社会を良くしたいか」から事業を設計している。
それは、利益よりも“共感”を起点にした、ウェルビーイング起業という新しい経済モデルの萌芽なのです。
「共感」を資本とする新世代の経済観
Z世代にとって、共感はもはや“感情”ではなく“資本”です。
SNSを通じてリアルタイムに社会課題を感じ取り、誰かの痛みに反応できる感受性こそが、彼女たちの経済活動の出発点になっています。
その結果、彼女たちの起業は「スケールよりも共感」「効率よりも誠実さ」を軸に展開されているのです。
利益より「心の整合性」を重視する意思決定
これまでの起業モデルでは、売上や拡大が正義とされてきました。
しかしZ世代女性の多くは、「社会的意義と自分の心の納得感が一致しているか」を最優先にしています。
たとえばフェアトレード、サステナブル素材、ローカル循環型事業など、“誰かが犠牲にならないビジネス”を選び取る姿勢が特徴です。
「ウェルビーイング起業」とは何か
ウェルビーイングとは「身体的・精神的・社会的に良好な状態」を意味します。
Z世代の起業家たちは、自分自身の幸福と他者の幸福が共存する状態を目指し、事業を設計しています。
彼女たちのビジネスは、プロダクトを売るためではなく、“社会を整える”ための仕組みづくり。
それがまさに、ウェルビーイング起業の本質なのです。
「共感」を収益化する時代の仕組み
一見抽象的な“共感”を、どう経済に変換するのか。
Z世代は、コミュニティ・サブスクリプション・クラウドファンディングなど、参加型の経済設計でそれを実現しています。
「応援したい人にお金を出す」「自分が参加するから価値が生まれる」——こうした構造が、共感を直接的な収益へと転換しているのです。
“推し活”から学ぶ経済の新構造
Z世代の消費行動の中で、象徴的なのが“推し活”です。
これは単なる趣味ではなく、「共感に基づく経済行動」の代表例です。
自分が信頼できる人・ブランド・ストーリーに対して、積極的に投資する。
この感情経済の構造が、Z世代のウェルビーイング起業の原型にもなっているのです。
「失敗しない起業」ではなく「持続する幸福」を目指す
Z世代女性は、起業を“手段”として捉えています。
彼女たちは「成功のために無理をする」よりも、「自分も他者も無理しない」持続的な働き方を志向する。
そのため、マイクロビジネスや複業型のスタイル、週3日経営など、柔軟な設計が主流になりつつあります。
「共感経済」が育てる新しいリーダー像
共感を基盤とした経営では、トップダウン型リーダーシップではなく、“共創型”のリーダーが求められます。
Z世代の起業家たちは、「フォロワー」ではなく「共感者」とともに歩む存在。
感情知性(Emotional Intelligence)を活かして、他者の幸福と経済合理性を両立させる新しいリーダーシップを体現しています。
「共感資本社会」への転換点としての女性起業
ウェルビーイング起業は、単なるトレンドではなく、社会システムの転換点です。
共感を価値化し、幸福を経済に還元するこの動きは、女性の感性がリードする新時代の資本主義の形。
経済とは、人が幸せに生きるためのツールである——Z世代の女性たちは、その原点を最も正直に体現しているのです。
