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私は助産師・看護師・保健師として「命と生活の選択」に向き合ってきた一方で、社会起業家として「女性の意思決定を支える仕組みづくり」に携わってきました。
その中で痛感するのは、これからの社会において、女性が政策の“受け手”ではなく“設計者”として関わることの重要性です。
経済、福祉、教育、医療、都市計画――あらゆる分野で「共感を起点にした政策デザイン」が求められているのです。
本稿では、2025年現在の国内外の具体例を交えながら、女性と公共政策デザインの関係を8つの視点から考察します。
政策設計段階への女性参画が、意思決定構造を変える
これまでの公共政策は、男性中心の価値観に基づく「上意下達型」の構造が主流でした。
しかし現在、政府が掲げる**「男女共同参画と女性活躍の推進基本方針(2024)」**では、企画・立案・評価の各段階において「男女で異なる影響を踏まえる」ことが明記されています。
これはつまり、政策形成の初期段階から女性が参画し、当事者として「暮らし・ケア・関係性・長期的視点」を持ち込むことが求められているということ。
私自身、福祉事業を設計する際に女性が加わることで、数値には現れにくい“生活の質”が可視化され、政策の方向性が大きく変わる場面を多く見てきました。
共感を起点にした地域政策の共創モデル
政策の実効性を高めるのは、机上の理論ではなく現場の声です。
近年、全国各地で女性が主体となる「共感型の政策共創モデル」が生まれています。
たとえば、農村地域での社会イノベーション研究では、地域女性が人口減少や高齢化といった課題に“暮らしの当事者”として関わり、**「政策受益者」から「政策共創者」**へと転換する動きが報告されています(J-STAGE研究より)。
私も現場で感じるのは、「共感」に基づく意見交換こそが、政策を“実装可能な仕組み”へと進化させるということです。
テクノロジー×女性参画——公共サービス改革の新潮流
AIやデータガバナンスの発展によって、政策設計にもテクノロジーが導入されています。
しかし本当に大切なのは「どのように」「誰のために」技術を使うかという視点です。
2025年のCWAJ主催イベント**「Inclusion Through Innovation:AIとジェンダー平等」**では、AIが女性の雇用・教育・政策参画をどのように支援できるかが議論されました。
テクノロジーは女性の可能性を広げる道具であり、女性がその設計段階に関わることで、公共サービスの在り方がより包摂的で人間的な方向へと進化していきます。
グローバル連携:女性の平和参画が社会イノベーションを導く
国内の政策デザインだけでなく、国際的な視点でも女性の参画が広がっています。
2025年6月には、日本政府とUN Womenが「女性の平和参画・パートナーシップ推進」プログラムを発表しました。
この動きは、女性が意思決定に関わることで社会の安定と平和構築が促進されることを示しています。
政策とは、単なる制度設計ではなく“人と人との関係を再構築するアプローチ”でもあります。
共感を通じた連携こそが、国を超えたイノベーションの原動力になるのです。
ジェンダー・イノベーションを政策に組み込む
政策・制度の多くは、長年「男性モデル」を基準に設計されてきました。
そこに女性視点を意図的に加える「ジェンダー・イノベーション」の動きが注目されています。
お茶の水女子大学では、EXPO 2025 大阪・関西万博において「Gendered Innovations」イベントを開催し、医療・科学・都市計画・教育などにおけるジェンダー視点の導入を提言しました。
私の経験からも、医療や福祉など“ケア”に関わる領域ほど、男女差の理解が制度に反映されていない現実があります。
この分野で女性専門職の知見が生かされる余地は非常に大きいのです。
財源・評価・データを女性視点で再構築する
公共政策の成否を左右するのは、財源の配分や評価の仕組みです。
2024年版の政府方針では、「男女で制度の利用に差が出ていないか」を検証するデータ収集の強化が明記されています。
女性が政策設計に参画することで、これまで見落とされてきた「支援が届きにくい層」や「ライフコースの多様性」を踏まえた指標設計が可能になります。
私も、就労支援や不動産コミュニティ運営を通じて、“数字に表れない幸福度”を可視化するデータづくりの重要性を実感しています。
市民主体・女性イノベーターが政策を動かす時代
いまや政策を担うのは行政だけではありません。
女性起業家やNPOが、政策共創の重要なパートナーとして台頭しています。
たとえば、Social Innovation Japanでは、女性ソーシャル・アントレプレナー支援を通じて、企業・行政・市民の協働による新しい公共モデルを生み出しています。
私が経営する福祉事業でも、当事者の女性たちが意見を出し合い、行政と連携して制度改善に貢献する事例が増えています。
支援の対象だった女性たちが、今は「共創者」として政策の担い手になっているのです。
まとめ——女性が“意思決定の場”に立つことで社会は変わる
女性と公共政策デザインの本質は、「共感による再構築」です。
女性を“支援される存在”ではなく、“政策を共に創る存在”と捉え直すことで、社会の設計思想そのものが変わります。
女性が企画・実施・評価の各段階に関わることで、暮らし・ケア・多様性・幸福といった“見えにくい価値”が政策に組み込まれ、より持続可能で公平な社会が実現します。
共感を軸に、行政・企業・市民がつながる――それこそが、これからの公共政策デザインの新しい形であり、女性が未来を動かす最大の力なのです。
ぜひ、このコラムを通じて、皆さまが女性の視点を公共政策に活かす可能性を再確認し、行政・企業・市民それぞれが“共感でつながる政策づくり”に一歩踏み出すきっかけになれば幸いです。
