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“ケア外交”——女性の共感力がつなぐ国際協力の新時代

“ケア外交”——女性の共感力がつなぐ国際協力の新時代
大阪府 仁蓉まよ “ケア外交”——女性の共感力がつなぐ国際協力の新時代

私は助産師として命の現場に立ち続けてきましたが、同時に社会起業家として「ケア」を社会や経済の文脈にどう接続するかを探り続けてきました。
その中で最近強く感じるのは、世界が今、**「ケア外交(Care Diplomacy)」**という新しい可能性に向かって動き始めているということです。

従来の国際協力や外交は、資金・技術・制度による“支援”が中心でした。
しかしこれからの時代に必要なのは、「共感」「信頼」「ケアの文化」を媒介とした国際的なつながりです。
女性たちの共感力と協働の力こそが、グローバル社会を再構築する鍵になるのです。

「ケア外交」とは何か

仁蓉まよ

ケア外交とは、単なる人道支援や医療協力に留まらず、ケアの価値観を国境を越えて共有する新しい国際協力の形です。
医療・教育・ジェンダー平等・子育て支援・環境保護といった分野において、現場の“思いやり”や“共感”を政策・経済・文化の次元へと昇華させるアプローチとも言えます。

その中心には、「支援する/される」という垂直関係ではなく、“共に育つ”という水平的関係があります。
ケア外交は、人間の尊厳を出発点にした“心のインフラ外交”なのです。

女性が持つ「共感力外交」の強み

仁蓉まよ

女性が得意とするのは、相手の背景を理解し、対話の文脈をつくる力です。
この「共感力」は、単なる感情的な優しさではなく、文化・宗教・社会構造の違いを橋渡しする実践的な知性です。

アフリカでの母子保健支援や、アジアでの教育プロジェクトなどでは、女性リーダーが“相手の痛みに寄り添いながらも構造を変えていく”姿が目立ちます。
これはまさに、感情知性(Emotional Intelligence)を外交戦略に転換する力であり、世界の信頼資本を生み出す基盤となるのです。

「医療・教育・福祉」から始まるケア外交

仁蓉まよ

ケア外交の起点は、医療・教育・福祉の現場にあります。
助産師や看護師、保健師といった専門職が海外の現場で果たす役割は、単なる技術提供ではありません。
命の尊厳、ジェンダー平等、子どもの権利といった**“人間の安全保障”の実践者**として、現場から政策を動かす存在なのです。

日本の医療人材が「教育+ケア」を輸出することは、外交の新しい形にもなり得ます。

日本の「ケア文化」は外交資産になる

仁蓉まよ

日本社会には、“おもてなし”や“思いやり”といった文化的価値観が根付いています。
これらは、グローバルに通用する**「ソフト・パワー(文化的影響力)」の中核**です。
高齢化社会・地域福祉・防災・子育て支援といった分野で培われた日本型ケアの知見は、他国が直面する課題にも応用できます。

つまり、日本の「ケア文化」は、資源の少ない国だからこそ発信できる**外交の新しい通貨(diplomatic currency)**なのです。

「経済外交」から「共感外交」へ

仁蓉まよ

従来の外交は、経済的利益の交換を中心に構築されてきました。
しかし今、国際社会が求めているのは「相互理解」と「信頼の回復」です。
ケア外交は、“共感”を資本とした外交モデルであり、教育・文化・医療・福祉を通じて、長期的な平和と共創を育むものです。

経済と倫理のバランスをとる外交——それが女性リーダーたちの新しい役割でもあります。

現場から始まる国際協働のかたち

仁蓉まよ

ケア外交の本質は、“上からの政策”ではなく“現場からの協働”です。
地域の保健師・看護師・教育者・社会起業家たちが、国境を越えて学び合う場をつくる。
たとえばアジア圏での助産師ネットワーク、オンラインでのケア教育プログラムなど、「ローカル to グローバル」型の連携が広がりつつあります。

この動きは、政治的対立を超えた人間中心の国際連帯を育てています。

「共感を翻訳する力」が国を動かす

仁蓉まよ

異文化間でのケアには、“言葉にならない感情”を理解する力が求められます。
そのために必要なのは、言語能力よりも、共感を翻訳する力=文化的感受性です。
女性たちはこの領域において特に優れています。

外交の現場に「ケア通訳者」的な役割を持つ人材が増えれば、国際社会の摩擦は減り、感情の理解が政策を変える時代が来るでしょう。

「ケアする国」から「ケアを共有する世界」へ

仁蓉まよ

ケア外交が目指すのは、単一国家のブランドづくりではなく、**「ケアを共有する世界」**の構築です。
女性たちが共感のネットワークを広げ、教育・医療・経済を超えた新しい協働モデルを創る。
それは、戦略でありながらも、人間の本質に根ざした外交のあり方です。

“ケアする”という行為を、もっとも美しい形で「国際言語」に変えていくこと。
それこそが、次世代をつなぐ女性たちに託された、未来の外交戦略なのです。

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