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私、仁蓉まよは助産師として多くの女性のライフステージを見つめてきました。
思春期・妊娠・出産・子育てと同じように、「更年期」もまた、人生の大切な転換点です。
けれども現代社会では、「老化」や「衰え」といったネガティブな印象が先行し、
キャリアや家庭の中でその意味が十分に理解されていない現状があります。
しかし実際の現場では、更年期を境に“生き方を再設計する女性”が確実に増えています。
本稿では、更年期を「再構築のチャンス」として捉える新しい視点と、
そのために必要な社会・企業・個人の戦略についてお伝えいたします。
「更年期」は身体と人生の“アップデート期”
ホルモン変化は確かに身体的な不調をもたらしますが、
同時にそれは「自分の体の声を聞き直す」貴重な時期でもあります。
睡眠・食・メンタル・運動、どれも“整える力”が問われるステージ。
医療的なケアに加え、「どう生きたいか」「どんな働き方をしたいか」を
改めて見つめ直すタイミングでもあるのです
キャリアの“中間管理期”としての更年期
更年期の年代は、職場での責任も増し、家庭では親の介護・子の独立など
多重の役割を担うことが多い時期です。
それだけに、心身の変化を“個人の問題”に留めず、
職場全体で支え合う文化をつくることが重要になります。
企業が「ライフステージに合わせた働き方の再設計」を行うことは、
離職防止だけでなく、組織の成熟度を高める戦略でもあります
更年期は“知恵と経験”の再統合の時期
この年代の女性は、若い世代にはない「実践知」と「感情知性」を兼ね備えています。
それを職場や地域で共有することが、次世代の成長を支える大きな社会資産となるのです。
「メンター」「教育者」「リーダー」としての役割を再定義することで、
更年期世代の女性は新しい影響力を発揮できるフェーズに入ります。
健康経営と「更年期マネジメント」
企業の健康経営の一環として、更年期支援を組み込む動きが広がっています。
相談体制の整備、柔軟な勤務制度、オンライン診療の導入など、
“見えない不調”をケアする取り組みは、生産性を高めるだけでなく、
女性が長期的に働き続ける基盤を整えることにもつながります。
社会全体で「閉経=再生」の価値観を
日本では“閉経=終わり”という固定観念が根強い一方で、
欧米では“menopause as a new beginning(新たな始まり)”という考え方が浸透しています。
人生100年時代において、更年期は人生の折り返し地点。
ここで心身を整え、自分の価値観と生き方を再構築できる人こそ、
次の40年をより自分らしく歩めるのです。
フェムテックが拓く「更年期ケア」の新市場
更年期を可視化するテクノロジーが続々と登場しています。
ホルモン変化をモニタリングするウェアラブル、
体温や睡眠データから不調を予測するAI、
メンタルケアアプリなど、フェムテックは“見えなかった揺らぎ”を見える化しています。
これは単なるヘルスケア領域に留まらず、ライフデザインを支えるインフラへと進化しています。
「自分の体と対話する」リテラシーを育てる
更年期に限らず、女性が自分の体の状態を理解し、
変化を前向きに受け止める“身体リテラシー”が求められます。
「どう整えるか」「どう支援を求めるか」を学ぶことは、
キャリアを守る力であり、人生を主体的にデザインする力でもあります。
“更年期世代”は社会を動かすリーダー層になる
更年期を迎える40〜50代女性こそ、社会を支える中核層。
ここで自分を再定義し、経験を社会に還元できる人が、
次の時代のリーダー・教育者・起業家として活躍しています。
「揺らぎを恐れず、変化を活かす」視点を持つことが、
女性のキャリアと社会の持続可能性を同時に支える戦略なのです。
