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女性のキャリアは、かつて「20代で築き、30代で変わり、40代で守る」と言われてきました。
しかし今、60代以降に「もう一度社会とつながる」「学び直して起業する」女性たちが確実に増えています。
これは単なる“セカンドキャリア”ではなく、福祉・教育・地域・文化など、多様な領域で社会を再構築していく“変革の最前線”なのです。
本稿では、私が関わってきた福祉起業や地域女性支援の現場から見える、「60代女性起業」の意義と可能性についてお話しします。
「余生」ではなく「再創造期」
60代の女性たちの多くは、家族や職場での役割を一通り終えた後、「次は自分のために生きたい」と考えます。
このタイミングは、社会的にも個人的にも“余生”ではなく“再創造期”と言えるのです。
医療・福祉・教育・アート・地域づくりなど、自らの経験を社会に還元するかたちで起業する女性が増えています。
人生経験こそが「社会資本」になる
若い起業家が持たない強み──それが、60代女性の「経験資本」です。
長年の人間関係、子育て・介護・地域活動・看護などの体験が、事業のリアリティと信頼性を生み出します。
たとえば、介護予防の教室、地域食堂、福祉雑貨の販売、世代を超えた学びの場づくりなど、実際に“人に喜ばれる形”でビジネスが成立しているのです。
「助けたい」から「仕組みをつくる」へ
私が支援している中で印象的なのは、60代女性たちが「困っている人を助けたい」だけでなく、「社会の仕組みを変えたい」と語る点です。
個人の善意にとどまらず、ビジネスモデルとして継続可能な形を模索している。
この発想の転換が、福祉や教育現場に“社会起業”という新しい風を吹かせています。
デジタル活用が「年齢の壁」を超える
SNSやオンライン決済、デジタルマーケティングを活用することで、60代でも全国・海外に顧客を持つケースが増えています。
テクノロジーが「年齢の壁」を取り払い、経験と信頼を社会に還元するツールになっているのです。
私自身、こうした世代の方々がInstagramやLINE公式を通して地域外の顧客とつながる姿を多く見てきました。
「支援対象」から「経済主体」へ
社会の中で“支援される側”とみなされがちだった高齢女性たちが、今や経済活動を通じて地域を支える存在になっています。
彼女たちは「誰かの役に立つことで生きがいを得る」だけでなく、「自ら稼ぎ、循環を生み出す」主体へと変化しています。
この変化こそ、真の意味での“ジェンダー平等”であり、“高齢化社会の新しい希望”なのです。
行政・企業が連携すべき「新しい起業層」
行政や企業は、60代女性を「支援の対象」ではなく「共創パートナー」として捉える視点が求められます。
地域課題の現場を最もよく知る彼女たちと連携することで、社会政策・商品開発・教育プログラムに新たなリアリティが生まれるのです。
“人生100年時代”のキャリアデザイン
平均寿命が延びた今、60歳はキャリアの終わりではなく「折り返し地点」です。
年齢を重ねるほど、人間としての厚みと信頼が増す──この時期に始める起業は、他のどんな時期よりも“人の心に届く”力を持っています。
「60代女性起業」は社会の再設計モデル
60代女性の起業は、個人の挑戦を超えて、社会の再設計そのものです。
ケア・教育・地域・文化など、生活の根幹を支える分野を中心に、彼女たちは“新しい経済循環”を生み出しています。
人生を諦めるのではなく、もう一度社会をデザインする力。
それが「60代からの女性起業」の本質であり、日本社会の未来を支える“静かな革命”なのです。
