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私たちのキャリア選択や人生の意思決定に、無意識のうちに大きな影響を与えているものがあります。
それが「親子関係の中で育まれた自己肯定感」なのです。
私は助産師として出産や子育てに関わり、またキャリア支援に携わる中で、親子関係が女性の生き方やキャリアの自律性に深く結びついていることを実感してきました。
本稿では、親子関係がどのように自己肯定感を形づくり、それがキャリアの選択や自律性にどうつながるのかを考えていきたいと思います。
自己肯定感は「家庭内の最初の教育」から育つ
子どもが「自分には価値がある」と感じる感覚は、学校教育以前に、親からの言葉や態度によって大きく影響を受けます。
「あなたは大切な存在だ」というメッセージを受け取った子どもは、自分の意見を表現する勇気や失敗を恐れず挑戦する力を育みます。
これは、キャリアにおける自己決定の土台となる「自律性」の源泉なのです。
母娘関係が与える「無意識のキャリアモデル」
特に母娘関係は、女性のキャリア選択に大きな影響を及ぼします。
母親が家庭中心であったか、仕事と育児を両立していたか、それともキャリアに挑戦し続けていたか。
その姿は、娘にとって「キャリアの可能性」や「制約」の無意識のモデルとなります。
母の姿を参考にしつつも、「私は違う生き方を選びたい」と感じることも含めて、自己肯定感とキャリア観は形づくられていくのです。
「過度な期待」が自律性を奪うこともある
一方で、親からの過度な期待や「こうあるべき」という固定観念は、子どもの自己肯定感を揺るがす要因になります。
「親を安心させるための進路選択」は、短期的には安全でも、長期的にはキャリアの迷いや不満を生みやすいのです。
自律性を持つためには、親の価値観を尊重しつつも、自分の意思で決める体験が不可欠です。
世代間ギャップを超えて「対話」が必要
昭和世代の親と令和世代の娘では、働き方やキャリアの常識が大きく異なります。
「正社員で安定」か「柔軟に複数のキャリアを持つ」か、理想像は違って当然です。
親子関係をキャリアの阻害要因にしないためには、「時代の変化」を互いに理解する対話が欠かせません。
自己肯定感は“やり直せる力”を育む
自己肯定感を持っている人は、たとえ失敗しても「また挑戦できる」と思えるため、キャリアの幅を広げやすいのです。
これは親子関係だけでなく、大人になってからの人間関係やコミュニティによっても補強されます。
「やり直せる力」を持つことが、キャリア自律の最大の武器になるのです。
親子関係を“資産”に変える視点
親子関係をただの情緒的な関係ではなく、「人生戦略の資産」と捉えることができます。
ポジティブな影響はもちろん、課題があったとしても、それを理解し乗り越えること自体がキャリア形成の力になるのです。
自己肯定感を育てることは、親から子へと受け継がれる「未来への投資」なのだと、私は感じています。
