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私は助産師として女性のライフステージを見つめてきましたが、同時にキャリア支援や社会起業にも携わるなかで痛感するのは、「女性のキャリアは世代ごとに大きく変化する」という事実です。
10代から30代以降まで、それぞれの時期に直面する課題や価値観は異なり、その意思決定の積み重ねが人生全体の戦略を形づくります。
本稿では、世代間でのキャリアの変化をわかりやすく整理し、企業や行政、そして一人ひとりが考えるべき示唆をお伝えします。
10代は「未来の選択肢」を広げる時期
10代の女性にとって、キャリアはまだ抽象的な言葉にすぎません。
しかしこの時期に大切なのは、「選択肢を狭めないこと」です。
学び・体験・コミュニティを通じて自分の可能性を知り、価値観を形成していく過程は、のちのキャリア形成の土台になります。
近年ではSTEM教育やリーダーシップ体験が注目されており、早い段階での情報リテラシー教育が不可欠なのです。
20代は「自己投資」と「挑戦」のフェーズ
20代のキャリアは、学びと挑戦を軸に展開します。就職、転職、留学、起業、婚活など、多くの意思決定が集中する時期です。
この段階で重要なのは、「自分にとっての成功の定義」を暫定的にでも持つこと。
社会人としての経験を通じ、自己投資や人脈形成を積極的に行うことが、30代以降のキャリアの柔軟性を支える力になります。
30代は「選択の重み」と向き合う時期
30代に入ると、キャリアの選択は一層現実的な意味を持ちます。結婚・出産・育児・介護などのライフイベントと仕事のバランスをどう取るか。
ここで直面するのは、「キャリアとライフの統合」という課題です。
医療職や企業で多くの女性を見てきましたが、この時期に柔軟な働き方や周囲の支援を得られるかどうかが、キャリアの持続可能性を大きく左右します。
40代以降は「経験を社会に還元する」段階
40代以降になると、女性キャリアは“自分のため”から“社会のため”へとシフトしていきます。
後輩の育成や次世代支援、または地域活動や社会起業などを通じて、自分の経験を社会に還元する人が増えていきます。
この時期は、培ってきた専門性を資産として活かしながら、自己実現と社会貢献を両立させることができる大切なフェーズなのです。
キャリアは“やり直せる循環”である
キャリアというと、年齢に沿ってまっすぐ積み重ねていく「一本道」
のように考えがちですが、実際には学び直しや転職、起業などの“キャリアの再設計”は、30代でも50代でも起こり得ます。
つまりキャリアは「線」ではなく「循環」に近いもの。
たとえば一度専業主婦になった方が再び学び直して働き始めたり、長年の経験を活かして新しい挑戦をするケースも多くあります。
大切なのは「いつからでもやり直せる」「何度でも選び直せる」という柔軟な発想です。
この“循環の視点”を持つことで、キャリアに行き詰まることなく、自分の人生を主体的にデザインし続けることができるのです。
社会や企業が果たすべき役割
個人の努力だけではなく、社会の仕組みも大きな影響を与えます。
教育機関は10代に未来リテラシーを届け、企業は20代・30代女性に挑戦と柔軟性のある環境を提供し、行政は40代以降の社会参画を支える仕組みを整える。
この連携があってこそ、世代を超えたキャリア循環が実現するのです。
世代間で“ロールモデル”を共有する価値
世代を超えてキャリアのロールモデルを共有することは、女性の自己効力感を高めます。
20代が30代のリアルな声を聞き、40代が10代へ希望を伝える。
こうした循環が、社会全体に「キャリアの多様性」を根付かせる力になります。
SNSやコミュニティ活動は、この世代間対話を促す大切なツールなのです。
女性キャリアは“社会の未来設計図”である
10代で学びの選択肢を広げ、20代で挑戦、30代でライフイベントと向き合い、40代以降で社会に還元──女性のキャリアは世代ごとに形を変えながら循環しています。
そのプロセスは、ひとりの人生の物語であると同時に、社会全体の未来を描く「設計図」でもあるのです。
女性が自分の意思でキャリアを選び直し、その選択を周囲が尊重し支える社会は、より柔軟で持続可能な社会になります。
だからこそ、女性キャリアを世代間で理解し合い、支え合うことは、すべての人にとって未来への投資なのです。
