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私はこれまで、助産師として命の現場を支え、また社会起業家として女性のキャリアや福祉をテーマに活動してきました。その中で痛感するのは、「未来をどう設計するか」という教育が、あまりにも不足しているという現実です。特に10代の女子学生たちは、学業や部活動に追われる一方で、「キャリア」「経済」「健康」「ライフデザイン」に関する学びの機会を十分に持てていません。この記事では、なぜ10代からの未来リテラシー教育が必要なのかをお伝えします。
進学偏重の教育が抱える限界
日本の学校教育は、依然として「進学実績」に強く偏っています。確かに学力は大切ですが、進路選択の先にある「どんな人生を描きたいか」という問いは、ほとんど扱われていません。そのため、大学卒業後に初めて“自分は何をしたいのか”に向き合い、迷子になるケースも多いのです。
「未来リテラシー」とは何か
未来リテラシーとは、単に知識を得ることではなく、「自分の未来を設計し、選択する力」を意味します。具体的には、キャリアデザイン、金融リテラシー、健康管理、ジェンダー平等、メンタルヘルスなど、多岐にわたるテーマを含みます。これらは、誰もが生きていく上で避けられない意思決定の基盤になるのです。
10代は価値観形成のゴールデンタイム
脳科学や心理学の観点からも、10代は「価値観」や「自己認識」が急速に形成される時期です。この時期に学んだことは、一生涯の意思決定に大きく影響します。だからこそ、“後で学べばいい”ではなく、“今のタイミングで学ぶ”ことが重要なのです。
女子学生が抱える「見えない不安」
私が支援する女子学生たちからよく聞くのは、「将来のお金」「結婚とキャリア」「妊娠・出産と仕事の両立」への不安です。しかしそれらは、誰も具体的に教えてくれないまま社会に出て、初めて直面する課題でもあります。事前に知識や考え方を持っているかどうかで、その後の行動は大きく変わります。
「キャリア教育」から「ライフデザイン教育」へ
「キャリア教育」から「ライフデザイン教育」へ
現在の学校で実施されるキャリア教育は、職業体験や企業訪問にとどまることが多いのが現状です。しかし本当に必要なのは、“働く”だけでなく“生きる”全体を設計する視点です。人生には、結婚、出産、介護、健康問題、転職、副業など、無数の意思決定が訪れます。それらを見据えたライフデザイン教育こそが求められています。
企業と行政の役割
未来リテラシー教育を実現するには、学校現場だけでなく、企業や行政の協働が不可欠です。企業は自社の専門性を活かした学びを提供でき、行政は制度として仕組み化できます。教育を「社会全体で担う」発想に転換することが重要なのです。
女性のエンパワーメントと社会の持続性
10代から未来リテラシーを身につけた女性たちは、自己肯定感と意思決定力を高め、自立的に社会に参画できるようになります。これは単に個人の幸せにとどまらず、少子化やジェンダー格差といった社会課題の解決にもつながります。つまり、未来リテラシー教育は「個人の投資」であり「社会の投資」でもあるのです。
“未来を選べる”女性を増やすために
私が提案したいのは、「10代からの未来リテラシー教育」を義務教育や高校教育の中に組み込むことです。小さなきっかけでもいい。お金の知識、体の知識、キャリアの知識に触れるだけで、未来の可能性は格段に広がります。大切なのは、“未来を自分で選べる女性”を一人でも増やしていくことなのです。
