幼少期から障がいのある人に関心を寄せていた
仁蓉
よろしくお願いします。
まずは、自己紹介と事業を始めたきっかけを教えてください。
穐里
今は株式会社Fair Heartの代表をしております。
事業を始めたのは息子がきっかけです。今11歳で、小学校6年生になりました。息子は障がいを持って生まれたのですが、彼が生まれたことによって、点と点が繋がって線になった感じです。
どういうことかというと、私は昔から、障がいのある人たちのことを気になる存在として思っていたんです。自分が小学生の頃から周りにそういう人たちがいたり、高校生の時にはボランティアサークルに入ったりしていたので、周りに普通にいた存在でした。
30歳になって大学に入った時に、福祉を専攻して、そこで障がいのある人たちのことを勉強しました。その後にうちの息子が生まれたんですね。なので、勝手に神様から何かしろと言われたのではないかと思いました。
とはいえ、生まれたときはバタバタでそれどころではなかったので、起業は考えていなかったのですが、いずれ何かができたらいいなと思っていました。そしてそのタイミングでコロナが始まり、2020年の4月にロックダウンしてどこにも行けなくなったじゃないですか。その時に、今まで思い描いていたものがあったので、この機会にやってしまおうと、5月に株式会社を立ち上げました。これが事業を始めたきっかけです。
仁蓉
そうだったんですね。
勝手にもっと前からされていたイメージがありました。
穐里
私はもともとフィットネスのインストラクターなので、20代〜40代半までは運動の人としてずっと見られてきていたんですね。フィットネスのインストラクターの養成学校を27歳から始めて、今期24期目なのですが、それはずっとやっています。なので、フィットネスの先生としては長いです。
仁蓉
では今の事業は2個目ということですか?
穐里
そうです。ずっとフィットネス業界でインストラクターの養成学校を主軸としてやってきていました。ただ、この20年で何かしら違う事業を立ち上げていかないとな、とはずっと思っていましたし、コロナになって業界的に落ち込んだ部分もあったので、良いタイミングになりました。
この子には障がいがありますマーク
仁蓉
そうだったんですね。よくわかりました。
では、事業の概要を教えていただけますか?
穐里
もともとフィットネス畑でやってきていたので、障がいのある子どもたちのためのエクササイズを理学療法士と一緒に考えて、パラリンピックとエアロビクスをかけ合わせたパラリンピックスというのを作って、運動療育みたいな感じでスタートしました。
その中で、私が欲しかった「この子には障がいがあります」というマークを作ってみようかなということで、2021年にクラファンを立ち上げました。そこで565名から430万円をいただいて、全国に広がって、その時に想像以上たくさんの方から「こんなの欲しかった」というお声をいただいたんですね。
また、逆にその人たちからもお困り事というのがワーッと来たんです。その時に、もちろん運動というところもアプローチの1つとしてありなんだけれど、そうではないところもすごくあるんだな、ということに気がついて、このマークによってそういうお困り事が解決されるのであれば、そちらから着手していったほうがいいのではないかと思いました。なので今は、それを広げる活動にシフトしている感じです。
仁蓉
活動の内容を含めて、今はどのような形でお仕事をされているんですか?
穐里
1つは、フィットネスのインストラクターの養成事業があります。ただ、私はもうそこには携わっていなくて、皆さんにお任せしてやっている形です。
もう1つ、「この子には障がいがあります」のマークについては、最初はクラファンでお金が集まったとはいえ、それは無料配布したので、全部配り終わったらおしまいでした。そこから次、どういうフェーズに入るのかを考えたときに、ありがたいことに多くの企業さんが関心を持ってくださったんです。そこから、卓話や講話をしてくださいという依頼があるので、そこでお話しをさせていただいて、地元の障がい者施設にこのマークを寄贈する形でさせていただいています。
あとは、和歌山県にあるアドベンチャーワールドに協賛いただいていまして、今そこでは、園内でこのマークの無料貸し出しがスタートしています。
そういったことから、おそらく商業施設や遊園地でも使われることが多いのではないかなと思って、今はそこにアプローチをしている最中です。
仁蓉
なるほど。
今はそのような活動を知ってもらいたいということですね。
穐里
そうですね。知ってもらいたいです。
また、色々なところを周るにあたって、本があったほうが思いも広まりやすいのではないかと感じているので、出版にも挑戦していきたいなと思っています。
障がいをもっとオープンに。マークを通して伝えたいこと
仁蓉
素敵ですね。
そういう活動をされながら、FEAにも興味を持っていただいて、こうして賛同会員にまでなっていただいているわけですが、FEAや女性起業家に対する穐里さんの思いや考えていることはありますか?
穐里
FEAがどうして立ち上がったのか、プラットフォームにされたのか、というところを見て、一人の力ではなくて、みんなで集まれば社会を動かせるよねというところに、本当にそうだなと共感しました。もちろん私も一人では何も出来ないので、みなさんのお力を借りながら、何か一緒にできたらいいなと思っています。
仁蓉
1つのやり方として一人でバーッとやるのもありですが、みんなで集まってそれを力にするというやり方もありですよね。
穐里
今はプラットフォームが重要だと思っていますし、数が力になると思っています。
仁蓉
本当にそうですよね。自分一人では実現できなかったことが、みんなとだったらできるというのはすごくあるなと思います。
では、穐里さんの今後の夢や、こうなったらいいなと思うことはありますか?
穐里
今のマークは、「この子には障がいがあります」となっているのですが、それはうちの息子が小さかったので、子ども用に欲しくて「この子」にしたんです。でも、その息子も来年には中学生になり、だんだん「この子」じゃないぞとなってきたんですね。また、全国から大人用も欲しいという声がすごく多くあるので、「わたしには障がいがあります」というバージョンも作りました。こちらに関しては、6月21日よりクラファンを実施しています。
とはいえ、私がやりたいのはこのマークを広げることではなくて、これをきっかけにして障がいについて考えてもらうこと。当事者や当事者の親も、障がいをオープンにすることについて、まだまだ地方では隠して生きていく考えもあるみたいなんですね。今は多様性と言われてはいますが、じゃあ果たして世の中がそういうふうに変わっていっているのかと言ったら、まだまだなところがあると感じています。なので、これを考える1つのきっかけにしていきたいというのがまずあります。
今は色々なマークが乱立していますよね。
ちょうちょのマークが何のマークかご存知ですか?
仁蓉
耳ですよね。
穐里
そうそう。でも、ほとんどの人が知らないと思うんです。なので、マークがありすぎる世の中は便利なようで、それがないとお互い分かり合えないのかな、みたいなことをすごく感じています。マークがいらない世の中にしたい、というのが私のやりたいことです。
要は、うちの息子にとって過ごしやすい、より良い社会を残していくことが私がやりたいこと。また、私がやりたいことというのは、うちの子だけではなくて、他の人たちにも良いことになると信じているので、それを広げていきたいです。そんな壮大な夢を持っています。
仁蓉
素晴らしいです。よくわかりました。
ありがとうございました。
