私は助産師・看護師として臨床現場に立ちながら、社会起業という道を選びました。
「医療」と「ビジネス」は一見かけ離れた領域に思われるかもしれません。しかし実際には、医療職だからこそ見えてくる社会課題があり、それを解決するためには“起業”という手段がとても有効なのです。
本稿では、なぜ医療職が社会起業に取り組むのか、その背景と可能性についてお伝えしたいと思います。
現場にいるからこそ見える“課題”
医療者として患者さんやご家族に寄り添っていると、「制度では救いきれない声」や「既存の仕組みでは対応できないニーズ」に出会うことが多々あります。
たとえば、不妊治療とキャリアの両立、障がいを持つ方の就労支援、女性のライフデザインと資産形成など。
現場で日々直面する“隙間”を埋めるためには、医療の枠を超えた仕組みづくりが不可欠です。その延長線上に「社会起業」という選択肢が生まれるのです。
医療知識は“社会的資産”になる
医療職は専門性の高さゆえに「現場で働く」ことに限定されがちですが、知識や経験は社会全体に還元できる資産です。
プレコンセプションケアの普及活動や、女性のキャリア・婚活支援も、医療知識を社会に広げる形のひとつ。
つまり、医療知識は診療室の中だけでなく、教育・福祉・ビジネスの領域でも十分に価値を発揮するものなのです。
起業は“自己実現”ではなく“社会実装”
「起業」と聞くと、自己表現や自由を追求するものと思われがちです。
しかし、医療職が起業する背景には「目の前の困りごとをどう仕組みに変えるか」という強い問題意識があります。
つまり、医療職の起業は自己実現のためではなく、“社会に必要な仕組みを実装する行為”なのです。
医療職が起業することの社会的インパクト
少子化、働き方の多様化、福祉と経済の両立といった課題は、どれも医療と密接につながっています。
だからこそ、医療職が起業に踏み出すことで、制度や企業だけでは解決できない領域に新しい道が拓ける。
その取り組みは、患者さん個人のためだけでなく、社会全体の持続可能性を高める力になるのです。
