日本の夏は、年々厳しさを増しています。猛暑日(最高気温35℃以上)が続く中、もし電気が止まったら——。
エアコンも扇風機も止まり、冷蔵庫の中身は傷み始め、冷たい水も自由に飲めない。そんな「最悪の事態」が現実に起こる可能性が、決してゼロではない時代になりました。
本記事では、猛暑の中で停電が発生した場合に備えるための実践的な知恵と工夫を、食事・住環境・備蓄・地域連携という視点から考えてみました。
停電時こそ「水分重視」の食の知恵を
非常食というと乾パンやクラッカーを思い浮かべる人も多いですが、猛暑下ではこれらは適していません。水分が必要以上に奪われ、のどを通りづらいためです。水が貴重になる停電時には、「水分と栄養を一緒にとれるもの」を選ぶことが命を守るカギになります。
◆ 猛暑・停電時におすすめの非常食◆
・ゼリー飲料(栄養補助系):手軽に水分・糖分・ミネラルが補給できます。
・フルーツ缶(シロップ入り):のど越しがよく、エネルギー源にもなる優秀食。
・おかゆ・雑炊のレトルト:常温でも食べやすく、胃にも優しい。
・経口補水ゼリー:熱中症予防にも効果的。
・冷製スープ(市販パウチ)やパック入り豆腐:水分を含んだたんぱく源としても◎。
食べること自体が体力を消耗する環境下では、「冷たくて、飲みやすくて、軽く食べられる」ことが何より大事です。
熱をこもらせない!室内での工夫
停電でエアコンが止まると、室温は急激に上昇します。特にマンションの上層階や風通しの悪い部屋では、室温が40℃を超えることも。熱中症のリスクを避けるには、「熱を入れず、熱を逃がす」工夫が必要です。
◆日中の熱対策◆
・遮光カーテン・アルミシート:窓からの直射日光を防ぎ、室温上昇を抑えます。
・新聞紙や段ボールも代用可:即席の遮熱対策として意外に有効。
・扇子やうちわ:電気が止まったときの強い味方。冷却スプレーや氷と併用すると冷感UP。
・携帯扇風機(乾電池式):乾電池を入れ替えればすぐ使えるので、停電時に役立つ。替えの乾電池の準備も忘れずに。
・濡れタオルで首・脇・足の付け根を冷やす:体温を効率よく下げるポイントです。
特に「首・脇・鼠径部(足のつけ根)」は太い血管が通っており、ここを冷やすことで体全体の温度を下げやすくなります。
電源の確保は“命綱”
スマートフォンが使えなくなると、情報も連絡も断たれてしまいます。停電が長引くことを想定し、電気を確保する手段も用意しておきましょう。
◆準備しておきたい電源まわり◆
・モバイルバッテリー(フル充電状態で複数)
・ソーラー式充電器:晴れていればどこでも充電可能。
・手回し式ラジオ&ライト:情報収集と夜間照明に。
・ポータブル電源(可能であれば):扇風機やミニ冷蔵庫にも使えます。
「自分だけ助かればいい」では乗り切れない
猛暑と停電が重なる状況では、孤立が命のリスクにつながることも。特に高齢者や持病を持つ方、子どもなど、暑さに弱い人ほど注意が必要です。
◆ 地域とゆるやかにつながる工夫◆
・近隣の人と「もしものときは声をかけ合おう」と話しておく
・町内会やマンション掲示板での安否確認ネットワークを活用
・自治体が設置する**「クーリングシェルター(避暑避難所)」**の場所を把握
人とのつながりがあるだけで、孤立のリスクは大きく減ります。「普段あまり話さないけど、顔だけは知っている」という関係でも、それが生きるセーフティーネットになるのです。
最後に:命を守るための心がまえ
「大げさかもしれない」「たぶん大丈夫だろう」と思ってしまうのが人間の自然な心理です。しかし、想定外が現実になる時代、“備えすぎ”で困ることはありません。
猛暑に停電という過酷な条件が重なったとき、一番必要なのは冷静な判断力と、日ごろからの小さな準備です。水、食料、涼をとる工夫、そして人とのつながり。それらすべてが、あなたと大切な人の命を守る力になります。
この夏、「もしも」の時に慌てないために。今日からできる備えを、少しずつ始めてみてはいかがでしょうか。
