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たった一人、信頼ゼロの現場に放り込まれた23歳の私。
マニュアルも頼れる先輩もいない中、手探りで始まった日々は、冷ややかな視線と無言の圧力との戦いでした。
しかし、ただ嘆くだけでは何も変わらない。
私は「今の現場を変えたい」「理想のチームを作りたい」という想いだけを胸に、小さな行動を積み重ねていきました。
この記事では、半年という短い期間で職場の空気を一変させた、私の挑戦の記録をお届けします。
どんな場所でも通用する「信頼と行動の法則」を、あなたにもきっと感じてもらえるはずです。
信頼ゼロの現場で、私が最初に直面した現実
私は、ある小規模の厨房に現場責任者として配属されました。
以前の委託責任者の方は、独りよがりで噂では暴言や暴力などもあったと聞き、チームのメンバーは少人数の現場であるにも関わらず二分化している状況でした。
誰も人のことを信じられない、何かあれば「あの人が」と人のせい。右も左も分からず、頼りになるマニュアルさえ見当たらず、誰に何を聞けば良いのかも見当がつきませんでした。
しかも、私は当時まだ23歳。チームメンバーから見れば、子供やヘタすると孫の世代になります。「こんな若い人にできるの?」と思われていたでしょう。
特に最初は慣れない業務、発注締め切りに追われ、なかなかチームメンバーとコミュニケーションが取れませんでした。その点でも、不信感がかなりあったのだと思います。
自問自答の毎日──チームを導くために必要だったもの
しかし、状況を嘆いている暇はありませんでした。冷ややかな視線と、上からの無言の圧力に挟まれながら、私は手探りで動き始めることにしました。
まず、委託責任者として自分が何をすべきなのか、その役割を一つひとつ理解することから始めました。
食材の発注方法、衛生管理の細かなルール、シフトの作成に至るまで、前任者と一度だけした数時間での引き継ぎメモと、現場の様子を見つめ、自分なりに解釈していくしかありませんでした。
誰かに教えてもらうという選択肢はなく、まさに独力でのスタートでした。
「私は一体、このチームをどこへ導けば良いのだろうか?」と、自問自答する日々が続きました。
信頼への微かな光 - 小さな行動が風穴を開ける
閉ざされたチームの状況を変えるために、私が最初に着手したのは、率先して、現場の全ての作業に積極的に取り組むことです。
彼らが日頃どのような仕事をしているのか、何に苦労を感じているのか、辛抱強く耳を傾けるようにしました。「責任者は指示だけしていれば良い」という考えを払拭し、まずは自分が全ての仕事を覚えた上でどういう分担にしていけばいいか考えようと思ったのです。
自分の空いた時間は、全てチームメンバーの仕事を楽にできるように動くようになりました。「なにか私にできることはありますか?」「どういうふうにしたらいいでしょうか?」と、責任者といえどまずは教えていただく立場であると認識し、一つずつ仕事を覚えていきました。
最初は「こんな若い人に責任者なんて」と、警戒心を露わにしていたメンバーも、私が根気強く話しかけるうちに、少しずつですが、心を開くようになりました。
そんな些細な行動の積み重ねが、少しずつ、チームの職人気質な雰囲気に小さな風穴を開け始めたのです。
半年間の変革 - 協力と笑顔が溢れる職場へ
諦めずに、小さな行動を積み重ねていくうちに、徐々にチームの雰囲気は変わり始めました。
以前は、まるで他人同士のように無関心だったメンバーたちが、自然と声をかけ合い、困っている仲間を助ける姿が見られるようになったのです。
作業の効率も上がり、協力体制ができたことで余裕が生まれ、時間が余るようになりました。その余った時間で、「今日も早く終わってよかったね!」と笑い合うことができました。
また、どうしても業務が終わらなかったり、ミスが出たりした時でも人のせいにする風潮はほとんどなくなりました。
私たちはシフトで動いていますが、皆それぞれで希望休を調整してくれたりと、シフトを作る私のことまで考えてもらえるようになりました。「あなたの作るシフトは働きやすい」そう声をかけてもらった時は本当に嬉しかったことを覚えています。
短い期間で得た教訓 - どんな場所でも通じる、信頼と行動の法則
どん底のような状況から、半年という短い期間でチームを立て直した経験は、私にとってかけがえのない学びとなりました。
どんなに困難な状況に置かれても、諦めずに信じ続けることの大切さ。
そして、信頼という絆は、一朝一夕には築き上げることができず、日々の小さな行動と誠意の積み重ねによって、ようやく育まれるものなのだと痛感しました。
この現場で過ごした日々は、私にとってかけがえのない財産です。
どんな場所にいても、目の前の人とちゃんと向き合うこと。それが、道を拓く最初の一歩になるのだと、今も信じています。
