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私、仁蓉まよは、助産師として医療現場に立ちながら、福祉事業や不動産コミュニティ運営、百貨店でのイベントプロデュースに携わってきました。
そのなかで常に感じてきたのは、「街の設計が女性のキャリアと生き方に大きく影響している」ということなのです。
仕事・家事・育児・介護——女性の行動は多層的であり、その移動には“目に見えない負担”が積み重なります。
本稿では、女性のキャリアと移動、そして都市デザインの関係について整理し、企業・行政が取り組むべき未来戦略をお伝えします。
女性の移動は“複雑動線”で構成されている
私が看護師・助産師として働いてきた現場でも、女性の生活動線は男性以上に細かく分散していることを実感してきました。
通勤だけでなく、保育園・スーパー・病院・親の介護先など、多拠点を横断する生活動線が日常なのです。
この“複雑動線”が、疲労・時間ロス・意思決定の負荷を生んでいます。
安全性の課題はキャリア継続に直結する
街灯の少なさ、夜間の駅周辺の雰囲気、防犯インフラの差は、女性の「夜間移動の自由度」を大きく左右します。
キャリアの幅を広げたいのに、「帰りが遅くなるから」「駅から家が遠いから」という理由で仕事を制限せざるを得ない女性も少なくありません。
安全な移動が担保されれば、女性のキャリア選択の幅は確実に広がるのです。
ベビーカー移動の負荷は“自己責任”ではない
周産期センターに勤務していた頃、退院指導で多くの母親から「外出が怖い」という声を聞いてきました。
段差・狭い歩道・エレベーター不足など、街の設計そのものが育児の障壁になっています。
これは個人の努力では解決できない問題であり、都市構造の改善こそ必要なのです。
福祉・介護と都市は本来セットで設計されるべき
私は福祉事業所を運営する中で、「福祉は建物の中だけで完結しない」と痛感してきました。
デイサービス・訪問看護・就労支援…どれも“移動”が前提で成立します。
女性は家族ケアの担い手になることが多いため、移動のしやすさがキャリア継続に直結するのです。
“移動のしやすさ”は経済インフラである
企業が採用で女性に選ばれるかどうかは、職場周辺の環境が大きな要素になります。
駅から会社までの動線、保育園までの距離、雨の日の移動のしやすさ——これらはすべて“経済インフラ”です。
女性の働きやすさを高める企業は、結果的に優秀な人材を集めることができます。
都市デザインは“ジェンダー中立”ではない
多くの都市計画は、暗黙のうちに「男性の単線的な移動」を基準としています。
しかし、実際には女性・子ども・高齢者・障がい者など、多様な生活者が存在します。
女性を基準にすると、結果的に“誰もが暮らしやすい街”になるのです。
女性視点の都市は、地方創生にもつながる
私は地方の福祉事業や不動産コミュニティにも関わる中で、移動しやすい街は移住者を惹きつけると実感してきました。
保育園・医療・買い物・仕事が“徒歩圏内でつながる街”は、女性にとって大きな魅力です。
地方創生においても、女性動線を軸にした設計は極めて有効なのです。
“移動の自由”は女性のキャリア資産である
移動が楽になるだけで、心の余白が生まれます。
その余白こそが、学び・挑戦・キャリアの再設計を可能にする――私自身、数々の現場でそう確信してきました。
都市デザインは、単なる街づくりではありません。
女性の人生の自由度を高め、キャリアの選択肢を増やす“未来への投資”なのです。
