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日々のキャリア、家事、家族のケア、健康管理、人間関係。
女性は、目には見えない「決め続ける負担=メンタルロード」を抱えやすいと言われています。
私が医療現場や女性支援、福祉事業、そして企業顧問として女性の相談を受ける中で強く感じるのは、
多くの女性が“疲れている”のではなく、“決めすぎている”という現実です。
本稿では、現代女性の人生に横たわる「意思決定の過負荷」を可視化し、どうすれば人生の余白と主体性を取り戻せるのかをお伝えしたいと思います。
「できる女性ほど決めごとが増える」というパラドックス
キャリアの選択、役職への挑戦、家事の段取り、家族の健康管理。
“優秀で気が利く女性ほど、周囲の意思決定まで担ってしまう”という現象があります。
私が助産師として関わった産前産後の女性も同じで、「夫の分まで考える」「親の介護の段取りを先回りする」など、無意識に“家族の司令塔”になっている方が多くいらっしゃいました。
「できる女性」は、決める力があるからこそ負荷が集中する——これが現代の大きな矛盾なのです。
意思決定は“体力”を消耗する——医学的にも事実
意思決定には脳の前頭前野が使われ、エネルギーを多く消費します。
医療的にも、「決断を繰り返すほど疲労しやすい」ことは研究で明らかです。
買い物リストの作成、家族の予定調整、保育園の申請、仕事の段取り……
こうした“細かい決めごと”が積み重なると、実際の作業以上に心が疲れてしまう。
これは個人の性格ではなく、構造的な負担なのです。
夫婦間における“メンタルロード格差”
多くの家庭で、「作業は分担されても、段取りは女性」のままです。
・夫は言われたら動く
・妻は“考える”ところから始まっている
この差こそがメンタルロードです。
私は仕事柄、夫婦キャリアの相談を受けることが多いのですが、共働き世帯ほど「段取りの不均衡」が課題になっています。
“やる気の問題”ではなく、“見えない仕事の数”に差があるのです。
SNSが“比較による決断疲れ”を招く
SNSによって、私たちは無限に情報を浴びる時代になりました。
・あの人のキャリア
・あの人の美容
・あの人の子育て
・あの人の資産形成
・あの人のライフスタイル
情報が増えるほど、決断の基準が揺らいでしまいます。
医療や福祉の現場でも、SNSが「選ばなければならないプレッシャー」を強め、疲れにつながるケースは年々増えています。
意思決定疲れは“女性らしさの問題”ではない
意思決定疲れは「女性が気を遣いすぎるから」ではありません。
社会構造、家族観、企業文化、地域の価値観——
さまざまな要素が重なって、女性に決断が集中してしまうのです。
とくに日本社会では、
「家のことは女性が把握しているべき」という無意識の文化が根強く、
それがキャリアや健康に影響してしまう。
だからこそ、これは個人ではなく“社会の課題”として扱う必要があります。
“決めなくていい仕組み”を増やすことがキャリアの武器になる
私が企業のPRや組織づくりをサポートする際、必ず取り入れる視点があります。
それは、
**「仕組みで決めごとを減らす」**ということ。
・ルール化
・マニュアル化
・自動化
・共有フォーマット
・AIアシスタントの活用
意思決定の回数を減らす仕組みは、女性のキャリア継続と健康に直結します。
これは家庭にも同じことが言えるのです。
頼り方をデザインする——“自立と協働”のバランス
女性の自立とは、すべてを自分で抱えることではありません。
むしろ、**自立とは“頼り上手であること”**だと私は考えています。
・家族に役割を振り分ける
・外部サービスを利用する
・職場でタスクを可視化する
・コミュニティに助けを求める
頼り方をデザインすることで、意思決定の重さは確実に軽くなります。
これはキャリア戦略としても非常に有効です。
“余白”こそが、女性のキャリアと幸福を支える資産になる
意思決定が多いほど、人生には余白がなくなります。
余白のない状態では、創造性も幸福感も生まれづらい。
私は、女性にとって一番大切な資産は「時間」「健康」「つながり」だと考えていますが、
これらを守るには、余白を取り戻すことが欠かせません。
意思決定から解放されることは、
女性がより自由に、より豊かに、より主体的に生きるための“未来戦略”なのです。
