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世界では、シングル女性(未婚・離別・死別を含む)が増えています。日本でも同様に単身女性世帯が年々拡大しており、「自分の人生を自分で養う力」が重要なテーマになっています。
私・仁蓉まよは、女性のキャリア設計や経済自立を支援する中で、国や地域によって生活保障のあり方がまったく異なることを痛感してきました。
本稿では、北欧・欧州・アジア・アメリカの制度を比較しながら、「日本のシングル女性が未来の安心を得るために必要な視点」を整理してお伝えいたします。
北欧:個人単位の“普遍的保障”がシングル女性を支える
北欧諸国(スウェーデン・デンマーク・フィンランド)は、生活保障を“家族単位”ではなく“個人単位”で設計しています。
医療費・教育費・介護サービスは基本的に低負担もしくは無償であり、結婚していなくても生涯の生活が制度的に守られているのです。
「個で生きる人生」を前提に社会が作られているため、シングル女性が不安を抱きにくいモデルと言えます。
フランス:家族政策は“多様な生き方”を後押しする
フランスは出生率の高さが注目されますが、実は「結婚していない女性、シングルマザーが安心して生きられる環境」が整備されています。
家族手当や住宅手当は、婚姻の有無に関わらず支給され、キャリア継続のための保育制度も柔軟です。
“家族のかたち”を国家が固定しないことで、結果として女性の自己決定権が守られている好例です。
アメリカ:格差が大きいからこそ“個人資産”が防衛線になる
アメリカは公的保障が薄いため、シングル女性が生きるためには“金融リテラシー”が必須です。
401k、投資信託、保険、住宅購入など、個人で資産形成を組み立てる文化が根づいています。
経済格差の厳しい社会だからこそ、「自己投資」と「金融知識」の差が生活の安定性を大きく左右しているのが特徴です。
アジア:伝統的家族観と単身女性の増加が矛盾を生む
韓国・台湾・中国では、急速にシングル女性が増えています。
しかし社会制度は未だ“家族依存”の前提が強く、単身女性が老後に不安を抱きやすい構造があります。
一方で近年は、国家単位で住宅支援や妊娠・出産リスクへの補助を拡大する流れも進んでおり、アジアは今まさに“過渡期”に入っていると言えます。
日本:生活保障が“世帯単位”のままでは、シングル女性を守りきれない
日本の制度は、税制(配偶者控除など)も年金も社会保障も“家族モデル”を前提にして設計されています。
そのため、単身女性や子どものいない女性が生きにくい構造が生まれ、老後不安が強まる結果となっています。
人生100年時代にもかかわらず、「単身で生きる人生」を制度側が十分に想定していないことが課題です。
生活保障は“キャリア保障”でもある
医療・教育・居住・老後の基盤が安定すると、女性はキャリアにより積極的に投資できます。
北欧やフランスで女性の働き方が柔軟なのは、生活保障が整っているからこそです。
逆に保障が弱い国ほど、シングル女性のキャリア選択は“リスク管理”に偏りやすくなります。
生活保障の違いは、そのままキャリアの自由度の差として現れます。
シングル女性が自分を守るために必要な3つの視点
私が支援現場で感じる、特に日本のシングル女性に必要な視点は次の3つです。
1.情報リテラシー(制度・税金・保険・住宅)
2.金融リテラシー(資産形成・投資・“安心の買い方”)
3.コミュニティ資産(孤立を防ぐつながり)
生活保障の薄さを補うためには、この3つが“自己防衛の基盤”となります。
日本も「個で生きる女性」の未来保障を再設計する時期に来ている
シングル女性が増えることは、社会の多様性が広がることでもあります。
にもかかわらず、制度はまだ従来の家族像に依存したままです。
北欧のような“個人単位の保障”をめざすのか、フランスのような“家族多様性モデル”を取り入れるのか。
いずれにせよ、女性がどんな生き方を選んでも安心できる社会をつくることは、日本の大きな課題であり、未来への投資だと私は考えています。
