目次
私は、ファッションを「自分の在り方を可視化するツール」だと考えています。
特に、季節の変わり目である冬は、心と身体のバランスを整えながら、自分らしさを再定義する絶好のタイミングです。
2025–26年の秋冬は、“チョコレートブラウン”“ピンクトープ”“ミッドナイトブルー”など、温かさと知性を両立したトーンが注目されています。
本稿では、今季のトレンドカラーや素材を通じて、「自己表現」と「心理的ウェルビーイング」の関係を考えてみたいと思います。
「装い」は自己理解のプロセスである
ファッションは、単なる“着飾り”ではなく、自分の内面を言語化するひとつの手段です。
助産師として多くの女性と関わってきた経験からも、装いの変化は心の変化と密接に結びついていると感じます。
「どんな自分でありたいか」を思い描くことで、色や質感の選択が変わり、それが行動や言葉にも影響を与えていく。
つまり、ファッションは“自己理解”の鏡なのです。
トレンドカラーが映す「心の気候」
2025–26年のトレンドカラーは、単に流行の結果ではなく、社会全体の心理を反映しています。
グローバルでは、安定や安心を求める傾向から、自然や大地を感じさせるブラウンやグリーン系が支持されています。
一方で、希望や再生を象徴するピンクトーンやブルーも浮上。
これは、変化の多い時代の中で「優しさと強さを共存させたい」という女性たちの無意識的な願いの表れとも言えます。
「素材感」がもたらす心理的ウェルビーイング
冬は、“触感”が人の感情に強く影響する季節です。
たとえばウールやカシミヤの柔らかさ、コーデュロイやフェイクレザーの温もりには、安心感や自己肯定感を高める効果があります。
「着心地の良さ=自己受容の感覚」を生むことは、科学的にも裏づけられています。
つまり、肌に触れる素材は、心の温度を整える“セラピー”なのです。
「ラグジュアリー=高価」ではなく「丁寧」へ
いま、ファッションにおけるラグジュアリーの定義が変化しています。
ブランドロゴよりも、「どれだけ丁寧に作られているか」「サステナブルか」という点に価値を見出す女性が増えています。
それは、自分の生き方や価値観を“衣服を通して語る”文化の成熟を意味します。
「丁寧に選び、長く大切に着る」ことが、最も知的で美しいファッションマナーなのです。
冬の色と質感がもたらす「社会的メッセージ」
装いは、個人の内面だけでなく、社会に向けたメッセージでもあります。
たとえばダークカラーに一点だけ明るいスカーフを合わせることで、「沈静の中に希望を灯す」という意志を示せる。
つまり、ファッションは“静かなる自己主張”の場。
特に冬のファッションは、落ち着いた色味の中に「意志の明るさ」をどう表現するかが鍵になります。
ファッションが育む「決断力」
コーディネートを考える行為は、“日々の意思決定トレーニング”でもあります。
何を選び、何を手放すか。その小さな決断の積み重ねが、人生の大きな選択にも影響を及ぼします。
自分の価値観に基づいて装いを選べる人は、他者や社会に流されにくい。
ファッションを通して「選ぶ力」を磨くことは、キャリア形成にも通じるのです。
ファッション×メンタルケアという新しい視点
今後のファッション業界では、“メンタルウェルネス”との連携が進むでしょう。
服を選ぶ行為そのものが心を整える「日常のセラピー」として再定義される時代です。
たとえば、香りや肌触り、色の心理効果を活かしたアパレルやルームウェアが増えており、
「自分を包み込む」という行為が、自己肯定感を育む文化に変わりつつあります。
冬の装いは「生き方の表現」になる
寒さが増すほど、人は内省的になります。
その時期に選ぶ色や服は、自分自身との対話の結果なのです。
「いまの私が心地よいと感じるもの」を選ぶことは、他者ではなく自分を軸に生きる第一歩。
冬のファッションは、自己表現の舞台であると同時に、「生き方の再定義のツール」でもあります。
それは、静かな季節にこそ映える、最も深い美しさなのです。
