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私はこれまで、助産師・医療者・教育者・経営者として、さまざまな世代の女性たちのキャリア支援に携わってきました。
そのなかで強く感じるのが、「リーダーシップ教育」は大学や社会人になってからでは遅い、ということです。
とくに女性の場合、「自分が何を選び、どう生きたいか」という“意思決定力”を早期に育むことが、将来のキャリア・健康・経済・人間関係のすべてに影響します。
本稿では、10代からのリーダーシップ教育がなぜ重要なのか、そしてそれが“未来リテラシー”を育てる鍵である理由についてお話しします。
「リーダーシップ」とは“人を導く”前に“自分を理解する力”
多くの人が「リーダーシップ」と聞くと、チームを率いたり、発言力のある人を思い浮かべるかもしれません。
しかし、私が考えるリーダーシップとは、“他者を導く力”ではなく“自分を理解し、選択する力”です。
思春期から自分の特性・価値観・感情を丁寧に見つめる習慣があれば、将来どんな環境でもぶれない軸を持つことができます。
それは、リーダーとしての原点であり、「自分の人生の舵を取る力」なのです。
10代での「意思決定体験」が未来のキャリアを形づくる
10代は、進路・友人関係・SNS・恋愛など、小さな意思決定が積み重なる時期です。
その一つひとつに“自分の意見を持つ”練習をしておくことが、将来のキャリア形成に直結します。
例えば、「どんな価値観の人と関わるか」「自分が心地よい環境はどこか」を考える習慣がある人は、社会に出てからも“選ばれる”より“選ぶ”生き方ができます。
意思決定の経験値こそ、リーダーシップの土台なのです。
“未来リテラシー”とは、変化を読み解く力
リーダーシップ教育の目的は、単に人前で話すスキルを磨くことではありません。
むしろ大切なのは、「未来を読み解き、柔軟に対応できる思考力」を育てること。
AI・グローバル化・環境変動など、社会の変化が激しい時代において、
“何が正解か”を求めるより、“どう適応し、自分の価値を発揮するか”を考える力が、未来を切り拓く鍵になります。
これがまさに、“未来リテラシー”なのです。
女性がリーダーシップ教育を受けにくい社会構造
日本では、依然として「リーダー=男性」という固定観念が根強く残っています。
そのため、女性が若いうちからリーダーシップ教育に触れる機会は限られています。
家庭や学校でも「控えめに」「協調的に」と育てられることが多く、自分の意見を表現することに罪悪感を持つケースも少なくありません。
この“教育のジェンダーギャップ”こそ、社会全体で見直すべき課題なのです。
海外では「リーダーシップ=市民教育」
北欧やアメリカでは、10代から「リーダーシップ教育」が市民教育の一環として行われています。
そこでは、発言力や競争よりも、「社会の一員としてどう貢献するか」「異なる意見とどう共存するか」に重点が置かれています。
つまり、リーダーシップとは“支配”ではなく“共創”の文化なのです。
日本の教育現場にも、こうした視点の導入が求められています。
“共感型リーダー”が未来をつくる
女性が持つ共感力や調整力は、これからの社会で最も重要なリーダーシップ資質です。
多様な意見をまとめ、チーム全体の幸福を設計する力は、経営や行政、医療・教育の現場でも求められています。
リーダーシップ教育を通じて、感情の理解・対話・思いやりといった“ソーシャルスキル”を磨くことが、次世代の社会づくりに直結します。
学校・家庭・地域が育てる“リーダーの芽”
10代の女性が自分らしいリーダーシップを育むには、学校だけでなく、家庭や地域社会の支えが必要です。
「意見を言っていい」「失敗しても大丈夫」と感じられる環境があることで、挑戦の意欲が育ちます。
地域のボランティア活動や、企業とのキャリア教育連携なども、リーダーシップの実践の場となります。
“未来を自分で選べる女性”を増やすために
10代からのリーダーシップ教育は、単に“リーダーを育てる”ためではなく、“自分の人生を選べる人”を育てる教育です。
それはキャリア教育であり、プレコンセプションケアであり、社会変革の基盤でもあります。
一人ひとりが「自分の意見を持ち、社会と対話できる力」を持つこと。
それこそが、女性の未来を明るくする最も確かな“教育戦略”なのです。
