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私はこれまで、助産師・経営者・マーケターとして多様な女性と関わってきました。
その中で痛感するのは、女性にとって「睡眠」が軽視されすぎているという事実です。
仕事・家事・育児・介護と、複数の役割を担う女性が多い社会において、睡眠不足はキャリアの持続可能性を大きく揺るがす要因になります。
本稿では、睡眠を「休息」以上の価値――つまり“キャリア資産”として捉え直す視点をお伝えいたします。
睡眠不足が奪うのは「判断力」と「創造力」
医学的研究では、1日6時間未満の睡眠が続くと、集中力や判断力が大幅に低下することが報告されています。
また、慢性的な睡眠不足は記憶力・創造性を阻害し、感情のコントロールを難しくします。さらに女性特有の側面として、ホルモンバランスの乱れ(月経不順・PMS・更年期症状の悪化)や免疫機能の低下が顕著に見られます。
これはキャリア形成において致命的なリスク要因となり得るのです。
具体例:睡眠を資産に変えた女性たち
睡眠を「戦略的に整える」ことは、実際に多くの女性のキャリア改善につながっています。
たとえば:
●女性管理職の事例:慢性的な睡眠不足でミスが増え、自信を失っていたが、就寝時間を固定しスマホを寝室に持ち込まないルールを導入。1か月で集中力が戻り、チームの成果も向上。
●女性起業家の事例:徹夜続きの働き方を見直し、15分の昼寝を戦略的に導入。午後の集中力とアイデアの質が格段に高まり、ビジネスの成長に直結。
このように、睡眠は「削るもの」ではなく「投資するもの」であることが明確に示されています。
「質の良い睡眠」は誰もが持てる資産である
研究では、7〜9時間の睡眠を確保する人は心疾患や糖尿病リスクが低く、長期的なキャリア継続力も高いとされています。
睡眠は不動産や金融資産と異なり、誰もが公平に持ち得る“資産”です。そして、習慣の改善によって質を高めることができます。
例えば:
●寝具・室温・光環境の工夫
●ブルーライトの制限(就寝1時間前からスマホ・PCを見ない)
●カフェイン摂取の時間調整
これらの小さな積み重ねが、キャリアの安定を支える大きな投資になるのです。
年齢別にみる女性の睡眠課題
女性の睡眠にはライフステージごとの特徴があります。
20代:学びやキャリア初期の忙しさから睡眠が不規則に。夜更かし型の生活が続くことで肌荒れや集中力低下が顕著に。
30代:妊娠・出産・子育ての影響で断続的な睡眠に。授乳や夜泣き対応で「まとまった睡眠時間が取れない」課題が大きい。
40代:管理職や家庭責任の増加、更年期のホルモン変化により不眠・中途覚醒が増える時期。
50代以降:加齢とともに深い睡眠が減少。健康リスクの予防と日中の活力維持が課題となる。
ライフステージごとに最適な睡眠戦略を知ることが、キャリアを長く続ける鍵となります。
家族との協力が「睡眠の質」を高める
特に子育てや介護の時期には、女性一人で睡眠を確保するのは難しいのが現実です。そこで重要なのが「家族やパートナーとの協力」です。
●夜間授乳や子どもの送り迎えを分担する
●介護に関してはデイサービスやヘルパーを活用し、家族内で役割を公平に分ける
●夫婦で「お互いが眠れる日」を作り合う
睡眠を「個人の自己管理」だけに押しつけるのではなく、家庭全体で支える仕組みを整えることが、持続可能なキャリアの基盤になります。
企業・行政に求められる「睡眠支援」
女性活躍推進を掲げるのであれば、企業や行政は睡眠を軽視してはいけません。
研究によれば、十分な睡眠を確保できる職場は生産性が約20%高まるという報告もあります。
深夜残業の是正、勤務時間の柔軟化、育児・介護との両立を前提にした休息設計。これらは女性のキャリアを守るだけでなく、社会全体の生産性を引き上げる戦略ともなるのです。
簡単にできる「睡眠改善チェックリスト」
忙しい女性でも取り入れやすい睡眠改善の工夫をまとめます:
1.毎日ほぼ同じ時間に寝起きする
2.寝る前はスマホやPCのブルーライトを避ける
3.就寝3時間前からカフェインを控える
4.軽いストレッチや入浴で体温を調整する
5.寝室は20℃前後・暗めの環境に整える
6.睡眠中は通知音をオフにする
7.朝は自然光やライトで体内時計をリセットする
8.眠れないときは無理に寝ようとせず、軽い読書や呼吸法で心を落ち着ける
小さな実践を積み重ねることで、睡眠は確実に“資産”へと変わっていきます。
「休息戦略」は女性キャリアの未来を強くする
女性にとって睡眠は“余暇”ではなく“未来をつくる戦略”です。
休息を資産と捉え、自分のキャリアに組み込むことができる人は、より長く、持続的に、自分らしいキャリアを築くことができます。
睡眠こそが、女性の人生を支える最も身近で確実な投資なのです。
