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私は助産師として医療現場に立ちながら、福祉や起業の現場でも多様な女性の人生に向き合ってきました。いま、社会全体で「働き方改革」が叫ばれていますが、その本質は単なる労働時間の調整ではありません。女性が自分のライフデザインに沿ってキャリアを描けるかどうかを左右する、未来戦略そのものなのです。本稿では、女性キャリアと働き方改革の交差点にある課題と可能性について整理してみたいと思います。
長時間労働からの解放が生む“余白”
日本社会の長時間労働文化は、特に出産や育児とキャリアの両立を考える女性にとって大きな壁となってきました。労働時間の是正は、単に心身の負担を減らすだけでなく、「学び」「副業」「起業」といった新たな可能性に投資する“余白”をつくり出すのです。
リモートワークがもたらす選択肢
コロナ禍以降、リモートワークやハイブリッドワークが定着しつつあります。移動時間の削減は、子育てや介護を担う女性にとって大きな支援となり、キャリアの継続率を高めました。物理的な制約が減ることで「どこで、誰と、どのように働くか」を主体的に選べる時代が始まっているのです。
評価制度が変わらなければ“改革”は進まない
しかし働き方の形だけを変えても、評価制度が従来型のままでは女性キャリアの可能性は広がりません。成果主義の見直し、プロセス評価、チームワークを重視する文化など、制度改革とセットでなければ“働き方改革”は実効性を持たないのです。
ケア責任を“女性だけの課題”にしない
働き方改革のもう一つの核心は、家庭内のケア責任を社会全体でどう分担するかにあります。子育てや介護を「女性だけが担うもの」として放置すれば、どんなに制度を整えても女性のキャリアは中断され続けます。男性の育児休暇取得促進や企業のダイバーシティ施策は不可欠なのです。
副業・複業は女性のキャリア保障になる
一つの職場に依存せず、複数の収入源やキャリアの軸を持つことは、女性にとってリスクヘッジであり、自由を得る戦略です。働き方改革は、この副業・複業を社会的に承認し、制度的に支える基盤にもなり得ます。
テクノロジーが支える“見えない労働”の可視化
AIやデジタルツールの活用によって、これまで評価されにくかったケア業務や調整作業を数値化・共有できるようになってきました。女性が多く担ってきた“見えない労働”を評価の俎上に載せることは、キャリア形成において極めて重要です。
地方と都市をつなぐキャリアの新しいかたち
リモートワークの普及は、都市部でしか得られなかったキャリア機会を地方に広げています。女性が地元に住みながら全国・世界とつながって働くことができれば、地域活性化にも直結するのです。
“制度”から“文化”へ、次の改革を
最後に重要なのは、働き方改革を「制度」から「文化」にまで浸透させることです。制度だけが整っていても、現場で“使いにくい”空気が残れば意味がありません。働く人々の意識を変え、キャリアの多様性を認める文化を育てることが、真の働き方改革であり、女性キャリアの未来戦略なのです。
