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私は助産師・起業家として女性のライフデザインに携わってきました。その中で強く感じるのは、女性が自分らしいキャリアを築いていくためには「世代を超えたつながり」が欠かせないということです。異なる世代が交わることで、経験は共有され、知恵は循環し、キャリア形成の選択肢が広がっていくのです。本稿では、世代横断コミュニティが女性キャリアにどのような価値をもたらすのかを考えていきたいと思います。
経験値の「シェア」がキャリアの武器になる
若い世代はエネルギーと発想力を持ち、上の世代は経験と実績を持っています。世代横断コミュニティにおいては、この両者が出会うことで相互に学び合う関係が生まれます。たとえば、20代の女性がキャリアの模索段階で40代女性の体験談を聞くことは、未来の失敗を減らす実践的なヒントになり得ます。逆に、上の世代は若い感性から新しい市場やテクノロジーへの気づきを得るのです。
「孤立感」を減らし、安心をつくるつながり
キャリアの転換期や子育て・介護といったライフイベントに直面すると、女性は孤立感を覚えることがあります。世代横断のコミュニティは「同じ経験をした先輩」や「これから経験する後輩」との交流を通じて、孤立を和らげます。自分の選択が一人だけのものではなく、多様な先人の足跡の上にあると気づくことは、大きな安心感と自己肯定感につながるのです。
世代間の価値観の違いを「学び」に変える
世代が違えば、仕事観・結婚観・家族観も異なります。対話を通じて「価値観のギャップ」を目の当たりにすることは、自分の考えを相対化し、より柔軟なキャリア観を育てます。特に女性の場合、社会構造や制度が変化するスピードが速いため、異なる時代を生きた女性同士が語り合うことは、自らの意思決定の視野を広げる大きな学びになるのです。
ロールモデルの多様性が選択肢を広げる
「キャリアの正解はひとつではない」ということを、世代横断のコミュニティは自然に教えてくれます。ある人は仕事を軸に、ある人は家庭や地域活動を軸にしてキャリアを築いてきました。こうした多様なロールモデルに触れることで、若い世代の女性は「こうでなければならない」という思い込みから解放され、自分らしい選択肢を広げていくことができます。
企業・行政が取り組むべき「世代横断設計」
企業や自治体が女性支援を考える際、同世代の中で閉じた支援策ではなく、世代を超えた交流の場を設計することが重要です。たとえば、若手社員とシニア女性管理職の交流、地域での異世代女性ネットワークづくりは、キャリア形成だけでなく地域社会の活性化にもつながります。制度や仕組みづくりに「世代横断」という視点を加えることが、女性活躍の次のステージを拓くのです。
オンラインとオフラインのハイブリッド型コミュニティ
現代の世代横断コミュニティは、オンラインとオフラインを組み合わせることで広がりを持ちます。SNSやオンラインサロンで気軽に相談できる関係性と、リアルな場での深い交流。この両輪があることで、女性のキャリア支援はより実効性を持ちます。特に地域を越えた交流は、若い女性にとって「まだ見ぬキャリアの可能性」に出会うきっかけとなるのです。
世代横断は「持続可能なキャリア社会」をつくる
単発的な支援ではなく、世代を超えて学びと支えが循環する社会は、持続可能性を持ちます。一人の女性が経験を積み、その知恵を次世代に手渡すことで、社会全体のキャリア知が積み重なっていく。これは女性だけでなく、社会全体のレジリエンスを高める仕組みなのです。
「つながり」が未来の意思決定を強くする
キャリアに迷うとき、人は情報だけではなく「人とのつながり」から勇気を得ます。世代横断コミュニティは、そのつながりを多層的に育て、女性が未来を選び取る意思決定力を強くします。キャリアは孤立して築くものではなく、世代を超えた連携の中で育まれていくもの。だからこそ今、私たちは「世代横断」という視点から女性キャリアの新しい未来を描いていくべきなのです。
