目次
私が助産師やキャリア支援者として出会ってきた女性の中には、宗教やスピリチュアルな考え方が人生の選択に影響を与えているケースが数多くありました。
たとえば「この人と結婚して安心できるのは、同じ価値観を持っているから」や「ヨガを続けて心が落ち着き、転職を決められた」など。合理的な条件だけでは決められないことを支えるのが、こうした“見えない力”なのです。
本稿では、宗教やスピリチュアルが女性のライフデザインやキャリアにどのように関わっているのかを、身近な例とともにお伝えします。
「安心感」で選ぶ結婚や子育て
結婚や子育てを考えるとき、相手の収入や条件だけでは決められません。
ある女性は「相手の宗教観が自分と合っていることが一番の安心材料」と話していました。また、子どもにどんな価値観や人道観を伝えたいかを理由に学校を選ぶ女性もいます。
宗教やスピリチュアルは、家庭生活を安心して営むための大切な“土台”として機能しているのです。
ヨガや占いが決断を後押しする
最近は「ヨガ」「マインドフルネス」「占い」などスピリチュアルに近い実践を生活に取り入れる女性が増えています。
ある30代女性は「週1回のヨガで心が整い、迷っていた転職に踏み出せた」と語っていました。
また、別の女性は占いで背中を押されて留学を決意、自信を得てその後のキャリアを大きく広げています。
こうした体験は、意思決定の自信につながる大切な要素となり得るのです。
宗教とキャリア選択
宗教的な価値観がキャリア選択に影響することもあります。
仏教徒の女性は「大切な法要やお盆の行事に合わせ休日を取る職場かどうか」を重視しますし、
日本でも「キリスト教系学校で育ち、奉仕の精神を大切にして看護師になった」という女性がいます。
宗教はキャリアの“方向性”を定める羅針盤のような役割を持っている場合もあるのです。
出産の場にある「祈り」
出産の現場に立ち会うと、女性が「どうか無事に生まれますように」と祈る姿に何度も出会います。
ある初産の女性は、陣痛が長引き不安が募る中で「神様でもご先祖様でもいいから助けてほしい」と声に出して祈っていました。
その祈りの後、気持ちが落ち着いたのか呼吸が整い、分娩がスムーズに進んだのです。
別の女性は「痛みで限界だったけれど、祈りながらお腹の赤ちゃんに“会いたい”と伝えていたら頑張れた」と話してくれました。
祈りは医学的なエビデンスには表れませんが、女性に力を与え、未来に向かう勇気や希望を支える大切な要素なのです。
スピリチュアルと消費行動
「好きなパワーストーンを身につけると安心する」「お守り・開運グッズを買うと気持ちが前向きになる」——こうしたスピリチュアル消費も女性の意思決定を支えています。
ある女性は「大事な商談の前にお気に入りの石を持つと不思議と落ち着く」と話していました。
大切なのは、これらが単なる趣味に留まらず、「自分を整えるための手段」として機能しているという点です。
話しにくいテーマだからこそ大切に
日本人は相手の事情や周囲へ配慮する国民性から、他国と比べ、宗教やスピリチュアルを語ることにためらいが生じる傾向にあります。
しかし、実際に女性の選択の場面には確実に存在しています。
結婚、出産、キャリア、消費行動——どれをとっても、見えない価値観が背中を押しているのです。
この領域をタブー視せずに語ることは、女性を理解する上で欠かせない視点だと私は考えています。
「信じる力」は人生の推進力
女性が信じる対象は必ずしも神や宗教だけではありません。
「自分自身」「家族」「仲間」などへの信頼もまた、スピリチュアルな力の一つと言えます。
40代女性のある言葉が印象的でした。「家族を信じて支え合えると思えたから、起業の一歩を踏み出せた」。
信じる力は困難を乗り越えるためのエネルギーになり、人生の選択を力強く前に進めてくれます。
意思決定を支える“見えない力”を尊重する
宗教やスピリチュアルは数値では測れませんが、多くの女性にとって大切な支えの一つです。
転職を迷ったときにお守りが背中を押してくれたり、子育てで不安なときに信仰コミュニティの仲間から励まされることもあります。
こうした体験はデータには残りませんが、本人にとってはかけがえのない力なのです。
だからこそ、企業や行政が女性を支援するときには、この“見えない力”を軽んじてはいけません。制度や数字だけでなく、安心感や価値観に寄り添う仕組みを整えることが必要です。
結局のところ、意思決定を支える宗教や“見えない力”を尊重する姿勢こそが、女性にとって本当の信頼と安心を育む基盤となるのです。
