目次
私は助産師として生命の誕生を支え、また社会起業家として女性のライフデザインに携わってきました。その中で強く感じるのは、「孤独・孤立」という課題が、女性のキャリアや生き方に深刻な影響を与えているということです。本稿では、福祉とキャリア戦略の両面から、孤独・孤立を社会課題として考え直す必要性について論じたいと思います。
女性に特有の「孤独リスク」
女性はライフステージごとに孤立のリスクが存在します。非婚化や晩婚化による未婚期、出産・育児期のワンオペ状態、更年期や高齢期の社会的つながりの希薄化。いずれの時期も、キャリアや生活に直接的な影響を及ぼす孤独リスクが潜んでいるのです。
「孤立」と「経済的不安」の連鎖
孤立は単なる心理的問題にとどまりません。孤立によって情報・支援へのアクセスが遮断されることで、経済的不安が増大するのです。シングル女性の老後不安や、ひとり親家庭の困窮は、その象徴的な事例です。
福祉は「居場所のデザイン」でもある
福祉制度というと給付や支援が中心に語られますが、本質は「居場所をつくること」にあります。地域コミュニティや就労支援の場が、女性にとっての社会的セーフティネットとなり、孤立から救う役割を果たすのです。
キャリア形成に必要な「つながり資産」
キャリアを築く上で重要なのはスキルや経験だけではありません。信頼できる人間関係やコミュニティ、相談できる場といった「つながり資産」こそが、長期的なキャリアを支える基盤になります。
企業に求められる「孤立予防」戦略
企業は従業員の孤立を見過ごすことができません。リモートワークの普及によって職場でのつながりが希薄化する今こそ、オンラインとオフラインを組み合わせた交流や、女性特有のライフステージに寄り添う仕組みが求められています。
行政の役割は「社会的インフラの提供」
孤独・孤立対策はすでに政府でも政策課題として挙げられています。行政に求められるのは、単なる給付ではなく、安心して学び・働き・つながれる社会的インフラの整備です。
「孤独」を資源に変える発想
孤独は必ずしもマイナスだけではありません。孤独の時間を自己分析や学びに充てることで、女性は自分のキャリアや生き方を再設計できます。そのためにも「孤立させない環境」と「孤独を活かす支援」の両輪が必要です。
孤独・孤立対策は女性支援の核心である
孤独や孤立に正面から向き合うことは、女性のキャリアを守ることであり、社会全体の持続可能性を高めることにつながります。福祉とキャリア戦略を横断する視点での孤立対策こそ、今の日本社会に最も求められている支援の一つなのです。
