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助産師として生命の現場に立ちながら、社会起業家として女性のキャリアや経済自立を支援してきた私が強く感じるのは、「金融教育の有無」が女性の人生設計に大きな影響を与えるということです。さらに世代間での格差が、その後の選択肢や生き方の自由度を左右しています。本稿では、女性と金融教育の関係を世代ごとに紐解き、未来への戦略を考えていきたいと思います。
親世代に根付く“お金のタブー”
日本の高度経済成長期を生きた親世代にとって、「お金の話は慎むもの」という文化が根強くありました。その影響で、多くの女性が金融知識を家庭内で学ぶ機会を持てなかったのです。結果として、結婚や離婚、配偶者の病気といったライフイベントで突如として経済的不安に直面するケースが少なくありません。
30〜40代女性が直面する“学び直し”
現代の30〜40代女性は、キャリアや家庭の両立を模索しながら、資産形成や投資に向き合う必要性を強く感じています。しかし学生時代に十分な金融教育を受けていないため、社会人になってから“学び直し”として投資や保険、不動産などを一から学んでいるのです。このタイミングでの金融リテラシー習得は、キャリア戦略に直結する重要なテーマです。
Z世代の女性が持つ“投資感覚”
一方で、Z世代の女性たちはSNSやアプリを通じて早くから投資や資産形成に関心を持ち、実際に行動を始めています。彼女たちは「消費」だけでなく「投資」をライフスタイルに組み込んでおり、これはこれまでの世代には見られなかった特徴です。Z世代女性の金銭感覚は、未来の社会をリードする新しい基準になるでしょう。
金融教育は“キャリア教育”である
金融リテラシーは単なるお金の知識ではなく、人生における意思決定の力を育む教育です。どの職業を選ぶか、どこに住むか、どんなパートナーシップを築くか――すべてに経済的な視点が関わります。したがって、金融教育はキャリア教育そのものであり、早期からの導入が欠かせません。
企業が担うべき金融教育の役割
近年、福利厚生として社員向けに金融リテラシー研修を行う企業が増えています。とくに女性社員にとっては、結婚・出産・介護などライフイベントと経済の関わりを理解する機会となり、キャリア継続の安心材料となります。企業が金融教育に関わることは、優秀な人材の定着やエンゲージメント向上にも直結するのです。
行政による「世代別支援」の必要性
行政の金融教育支援は、世代ごとに異なるアプローチが求められます。若年層には「基礎教育」としての金融リテラシー、中堅層には「資産形成の実践教育」、高齢層には「老後資産の管理教育」。この三層に分けたアプローチが、社会全体の経済基盤を安定させる戦略になるのです。
女性同士の“学び合い”が広げる可能性
金融教育は個別に学ぶだけでなく、女性同士で知識や経験を共有することにより、一層の効果を発揮します。コミュニティでの勉強会やSNSでの情報交換は、単なる知識習得にとどまらず、経済的な自信や仲間意識を育む場ともなります。
未来を変えるのは“世代連携”
金融教育のゴールは、世代間での格差を埋め、持続可能な経済自立を実現することです。親世代が経験から学び、中堅世代が実践を共有し、若い世代が新しい知識を発展させる。世代を超えた金融教育の連携が、日本社会に新しい可能性を開く戦略資産となるのです。
